武尊、ONEデビュー戦で王者スーパーレックに判定負け リングで涙「限界はここまで。これ以上はもう、僕は体を作れません」

挑戦者・武尊(32=日本)が王者スーパーレック・キアトモー9(タイ=28)に判定で敗れた。ONEデビュー戦でベルト獲得はならなかった。

武尊はスーパーレック・キアトモー9に敗北し、戴冠ならず【写真:山口比佐夫】
武尊はスーパーレック・キアトモー9に敗北し、戴冠ならず【写真:山口比佐夫】

ONEフライ級 キックボクシング 世界タイトルマッチ

格闘技イベント「ONE 165: スーパーレック vs. 武尊」(1月28日、東京・有明アリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで国内独占生中継)メインイベント、フライ級 キックボクシング 世界タイトルマッチ

 挑戦者・武尊(32=日本)が王者スーパーレック・キアトモー9(タイ=28)に判定で敗れた。ONEデビュー戦でベルト獲得はならなかった。

 ONEデビュー戦となった武尊。当初はロッタン・ジットムアンノン(タイ)と対戦予定だったが、今月頭にロッタンのケガが公表されカードは消滅。新たにスーパーレックとのタイトル戦が組まれた。前日に行われたフェイスオフではこれまでクールだった武尊が珍しく感情をあらわに。闘志がむき出しになっていた。

 1R、左のインローから入った武尊。対するスーパーレックは序盤から右のローキックで終わるコンビネーションで圧をかけていった。

 蹴りの音が違っていた。ビシっと会場に響くスーパーレックの重たいローキックを武尊は明らかに嫌がっている。2Rが終わるころには武尊の左ももは紫に変色していた。遠い距離ではやはりスーパーレックに分がある。武尊が足を止め、近距離で打ち合うたびに歓声は大きくなる。スーパーレックの上下に打ち分けるコンビネーションを被弾するが、それでも前に進む。

 3R中盤までは武尊が押される展開。しかし、残り1分で逆転する。コーナーに追い込むとボディーフックをラッシュ。スーパーレックが嫌がったところに今度は左右のフックを連打し、一気に形勢逆転した。

 そのままの勢いで4Rへ。武尊はボディー、左のミドルを効かせる。一方の相手は執拗(しつよう)に右のローで左足を壊しにかかった。迎えた最終R、会場からは再び武尊コール。満身創痍(そうい)になりながら振るフックにはまだ力があった。最後に繰り出した右ストレートは空振りとなったが、「あー!」と気迫の声を出していた。15分では決着がつかず判定へ。スーパーレックの手が上がった。敗れた武尊は左足を引きっていた。

 試合後にはスーパーレックの後にリング上でインタビューを受けた。

 武尊は「絶対勝って世界一を証明して、ずっと応援してくれた人たちに……パワー与えたかったんですけど、そのために今できる、今の、今の身体でできる、限界ぎりぎりのところまでやりました。絶対勝って……きてよかったって思ってもらいたかった……。死ぬ気で頑張ってきたんですけど、地震とかいろんなことがあって、辛い思い、苦しい思いしてる人がいる、命懸けで戦って、パワー与えたら、今できる限界はここまでです。これ以上はもう、僕は体を作れません」と涙を浮かべながら、引退を示唆した。その後、キャンバスに両手をつき頭を下げた。

 元K-1 3階級王者の武尊は昨年3月にABEMAと1試合の最低報酬は1億円という破格の内容の専属ペイ・パー・ビュー(PPV)ファイター契約を締結。同5月には「ONE Championship」と複数試合契約を結んだ。また同6月に那須川天心に判定負けを喫した「THE MATCH 2022」以来、370日ぶりの復帰戦を行い、ベイリー・サグデン(英国)に5R・KO勝ちを収めISKA世界ライト級(61キロ)王者となった。

次のページへ (2/3) 【写真】紫色に変色した武尊の左もも
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