野球漫画といえば『ドカベン』（作：水島新司）や『タッチ』（作：あだち充）など名作が数多く存在する。数ある野球漫画のなかには、弱小からの成り上がりストーリーが魅力の作品もある。本記事では、事情のある高校が試合に勝ち進んでいく姿に、熱いドラマを感じる野球漫画を紹介しよう。

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　1作目は『ROOKIES』（作：森田まさのり）である。舞台はかつて野球の強豪校だった二子玉川学園高校。新たに赴任した教師・川藤幸一は野球部の顧問になるが、部員は不良だらけ。二子玉川学園の野球部は暴力事件を起こしたことにより出場停止処分を受けていた。

　当初、不良生徒は野球をまともにする状態ではなかった。しかし、川藤の熱血指導により、心を入れ替え野球に専念し始める。そして、野球経験者である安仁屋や御子柴を中心に野球部を再建し、甲子園を目指すストーリーだ。

　ネット上では、新人教師と不良たちが一致団結して成長していく姿に「最高の野球漫画で感動する」「ROOKIESは心震える熱い漫画」と心を動かされたファンの声も多い。

　2作目の『風光る』（作：七三太朗、川三番地）は、弱小チームが甲子園を目指す物語。主人公・野中ゆたかが所属する多摩川高校野球部は1回戦敗退がお決まりで、その中でも野中は補欠メンバーである。

　しかし、野中はプロ野球選手のモノマネが特技で、メジャーリーグでも活躍した野茂英雄氏の「トルネード投法」や、三冠王を3度も獲得した落合博満氏の「神主打法」などをまねしていた。あるとき、野球部に新しく着任した監督が、モノマネから野中のセンスを見抜き、彼を育て始める。モノマネの技術と監督の指導によって成長した野中はついに主力選手となり、甲子園出場を果たす。

　プロ野球選手のモノマネによって勝利を積み重ねていくという夢のような設定に、ネット上では「弱い選手がさまざまな選手のモノマネをして活躍する発想が面白い」「野球の良さを知らない人にぜひ読んで欲しい漫画」という声があがっている。

　最後に紹介するのは『おおきく振りかぶって』（作：ひぐちアサ）である。西浦高校に硬式野球部が新設されたが、集まった部員は新入生10人のみ。女性が監督を務めるチームが甲子園を目指すというストーリーだ。

　主人公・三橋廉は、野球で花形とも言えるピッチャーだが、自信がなく弱気な性格。しかし、内気ながらも彼の潜在能力は高く、三橋はチームメイトと出会い関わることで成長し、チームは一丸となって甲子園優勝を目指し奮闘していく。

　同作は2003年に連載が開始され、第10回手塚治虫文化賞「新生賞」、第31回講談社漫画賞一般部門受賞を受賞するなど繊細な心理描写が話題になった野球漫画。ファンからは「選手のメンタル面での成長が面白い」「選手たちの成長や心理戦、リアリティのある描写などの魅力」などの声が上がっている。22年に発売された最新刊36巻でも西浦高校野球部の歩みは止まらず、今後の展開から目が離せない。

　不良生徒が熱血指導のもとで甲子園出場するストーリーや、プロ野球選手のモノマネで勝利していく姿などは、現実の高校野球であまり見られない光景だ。しかし、野球に興味がない人でも楽しめる作品ばかりなので、漫画好きの人も、野球好きの人もぜひ一読してほしい。