“世界一かわいい”女子プロレスラー、伊藤麻希が大流血上等の米団体で絶賛されるワケ「アメリカは自分に合ってる」

東京女子プロレスを主戦場にしている伊藤麻希は、コロナ禍のAEW(米プロレス団体)のリングに上がり世界から注目を集め、今年はGCW(米インディーNo.1団体)ほか海外での試合を多く経験した。海外で「今、一番注目している女子プロレスラーとは誰か」と問えば、「Maki Itoh」の名前を挙げるプロレスファンは多いことだろう。試合中の恒例のレスポンスとなっている「世界で一番かわいい伊藤ちゃん」が「The cutest in the world is Itoh-chan!」になるのには、それほど時間はかからなかった。

海外でも大活躍中の伊藤麻希【写真:橋場了吾】
海外でも大活躍中の伊藤麻希【写真:橋場了吾】

GCWと出会いプロレス人生が大きく変わった

 東京女子プロレスを主戦場にしている伊藤麻希は、コロナ禍のAEW(米プロレス団体)のリングに上がり世界から注目を集め、今年はGCW(米インディーNo.1団体)ほか海外での試合を多く経験した。海外で「今、一番注目している女子プロレスラーとは誰か」と問えば、「Maki Itoh」の名前を挙げるプロレスファンは多いことだろう。試合中の恒例のレスポンスとなっている「世界で一番かわいい伊藤ちゃん」が「The cutest in the world is Itoh-chan!」になるのには、それほど時間はかからなかった。

 10月12日、伊藤はGCW興行『The Wrld On』に出場するため後楽園ホールにいた。同月9日に、東京女子のビッグマッチ『WRESTLE PRINCESS Ⅳ』で、AEW所属の巨漢レスラーであるナイラ・ローズとのシングルマッチを終えて3日後のことである。実は10日には、新木場1stRINGで開催されたGCW興行にも出場している。

「気持ちの切り替えは……その日その日に合わせてですね。連戦でもストレスは感じていないです。昨日(12日)はアメリカンプロレスな展開だったので、東京女子の伊藤麻希とはかなり違うスタイルでしたけど、楽しんで戦えました」

 2023年の伊藤は、GCWとともにあるといっても過言ではない。GCWのハードコアレジェンドであるニック・ゲージに気に入られ、彼のユニット「Murder Death Kill」(通称MDK)も伊藤と組むときは「Maki Death Kill」と名乗るほど。

「GCWとの出会いは本当に大きかったですね。東京女子のほかにも、ホームができたというか。ニックと組んだ試合では『20年間プロレスをしてきたけど、一番楽しかった』と言ってもらえて。イギリスからはあまりオファーはないんですけど(笑)、アメリカは自分に合っていますね」

 そもそも伊藤が海外へ目を向け始めたのはいつだったのか。実は、2019年4月に東京女子と同じサイバーファイトの団体であるDDTが行ったニューヨーク大会に参戦したことが、きっかけになっているという。

「自分にとって初めての海外遠征で、受け入れてもらえるのか心配だったんですが、大伊藤ちゃんコールをもらって。グッズの売り上げも一番良かったということで、アメリカに需要があるんだなと思いました。それからですね、海外でプロレスをしようと思ったのは」

 同年10月には、東京女子のインターナショナル・プリンセス王座を獲得。そのタイトル名の通り、外国人選手相手に防衛を重ねるも、翌2020年1月に王座陥落してしまう。それでも海外への思いは変わらなかったが、世界的なコロナ禍がプロレス界にも押し寄せた。

「コロナ禍で試合が一気になくなって、海外にも行けなくなって……そのときは過去のプロレスのVTRを見まくりました。特にハマったのが、みちのくプロレスでしたね。愚乱・浪花選手(故人)が大好きになって、トルネードDDTを使い始めたのは浪花選手の影響です」

マット・カルドナの額を切り刻む【写真:DDTプロレスリング提供】
マット・カルドナの額を切り刻む【写真:DDTプロレスリング提供】

米国の抗争が日本に…「カルドナは大嫌いだけどこんなに楽しい試合はなかった」

 21年8月には第8回東京プリンセスカップに優勝し、22年には2度目のインターナショナル・プリンセス王座を獲得。順調なプロレス人生を歩んでいると思いきや――。

「22年の初めは自信がなくなってしまった時期で、ほとんど記憶にないですね。自分の方向性が定まっていない上に、何かやろうとしても覚悟ができないというか。そんな中、AEWにまた出て、そしてGCWに出合って……。自分のやるべきことが見つかってきました」

 今年に入りGCWでゲージと組むようになると、あるレスラーが喧嘩を吹っかけてきた。それが、元WWEのザック・ライダーとして名を馳せたマット・カルドナ。現在は世界中のインディーマットのベルトを手にし“INDY GOD”の異名をとる。カルドナはゲージと大流血戦を行う関係にあり、GCWファンからは物を投げつけられるほどのヒートを買っている。そのカルドナが、ゲージと伊藤を急襲した。

「その後、アメリカでカルドナと対戦したときに、ゲージに蛍光灯の束を渡されたんですよ。それまでは蛍光灯は1本でしか使ったことがなかったんですけど、束になっていると重くて……思いっきりカルドナを殴ったら、肩から大流血でしたね」

 カルドナはこのことを忘れておらず、ことあるごとに伊藤を挑発。その挑発に伊藤が返したのは、カルドナが今年7月にDDTが両国国技館で開催した『WRESTLE PETARPAN 2023』でのこと。遠藤哲哉からDDT UNIVERSAL王座を強奪したカルドナの試合後に、VTRレターを送りつけ挑戦を表明したのだ。

「カルドナのことは大嫌いです(笑)。ただ……カルドナとの試合は楽しいんですよ、とっても。“スイングする”というのを実感できる対戦相手ですね。後楽園の試合は、ステフ(・デ・ランダー=カルドナのマネージャー)を台車に縛りつけたところまでは良かったんですが、テープの止め方が甘かったのが敗因です。でも、今のところ今年のベストバウトですね」

 その日、DDTの後楽園ホール大会で伊藤はカルドナの持つDDT UNIVERSAL王座に挑戦。大善戦したものの、ステフの乱入により惜敗。しかし、ゲージから受け継いだピザカッター攻撃でカルドナを大流血させ、その返り血を頬に塗りたくるなど衝撃的なシーンも残した。

次のページへ (2/2) 【写真】リングの上とはまるで違う私服姿
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