男の子と戦隊モノごっこをしていた少女がデスマッチで開眼、21歳の夢は「プロレス界の顔」

9月30日に決勝戦が行われたシングルリーグ戦「5★STAR GP 2023」で見事優勝を果たした鈴季すず。スターダムに参戦しわずか2年弱で勲章を手に入れた彼女は、11月18日に行われるビッグマッチ『STARDOM GOLD RUSH 2023 ~しらんけどスターダム~』(大阪・エディオンアリーナ大阪第1競技場)で、ワールド・オブ・スターダム王座への挑戦を表明している。その鈴季、今は封印しているが、そもそもはデスマッチファイターとして日の目を見たことは有名な話だ。

5★STAR GP 2023を見事に制した鈴季すず【写真提供:スターダム】
5★STAR GP 2023を見事に制した鈴季すず【写真提供:スターダム】

私が「プロレス界の顔」になる…鈴季すずが時代も性別を超えて目指す姿とは?

 9月30日に決勝戦が行われたシングルリーグ戦「5★STAR GP 2023」で見事優勝を果たした鈴季すず。スターダムに参戦しわずか2年弱で勲章を手に入れた彼女は、11月18日に行われるビッグマッチ『STARDOM GOLD RUSH 2023 ~しらんけどスターダム~』(大阪・エディオンアリーナ大阪第1競技場)で、ワールド・オブ・スターダム王座への挑戦を表明している。その鈴季、今は封印しているが、そもそもはデスマッチファイターとして日の目を見たことは有名な話だ。(取材・文=橋場了吾)

 鈴季の小さいころは、男の子とばかり遊んで、戦隊モノごっこをしていたという。

「男の子の友達ばかりでしたね……。今は(星来)芽依ちゃんとプライベートで仲良しで、この間はお台場にドライブに行きました(笑)。共通点(鈴季も星来も中学卒業後すぐにプロレス界に飛び込んでいる)も多いですし、親友と呼べる存在です」

 当時から、無茶なことは好きな子どもだったらしい。無茶といえば、先日の『5★STAR GP 2023』の決勝戦で優勝をもぎ取ったのは、超難易度のスカイツイスタープレスだった。

「スカイツイスタープレスは、完全に初公開です。何度か練習したらできたので、いつか出そうと思っていて、その舞台があの試合でした」

 スカイツイスタープレスというと、元祖は全日本女子プロレスで活躍したチャパリータASARI。体操の経験を生かした身体能力の高さで人気を博したが、鈴季は彼女の“切れ味”をモチーフにしているという。

「実際やってみたら、元祖には遠く及ばなかったですね……。でも私には、デスマッチで培ってきた根性があるので、絶対に勝つつもりで出しました。私の心は、絶対に折れませんから」

 鈴季が最初に憧れたレスラーは宮本裕向(暗黒プロレス組織666)。その宮本を追いかけていたら、デスマッチにのめり込んでしまったという。

「宮本さんがやった建築現場デスマッチ(※)は最高でしたね。デスマッチは今はやっていませんけど、映像で見るとやりたくなっちゃいます(笑)。でも今は、スターダムでトップを取ることが最優先です」

※2007年3月14日、大日本プロレスの後楽園ホール大会で行われた王者・佐々木貴vs挑戦者・宮本裕向のデスマッチヘビー級選手権試合

 11月18日の大阪大会では、中野たむの持つワールド・オブ・スターダム王座(通称・赤いベルト)への挑戦が決まっている。しかし、中野は左ひざのけがでタッグリーグを欠場、大阪大会が復帰戦になる可能性が出てきてしまった。

「正直なところ、何してくれてんの!とは思いましたけど、中野たむはゾンビみたいな女なので、絶対にけがを治して、万全の状態で向かい合ってくれると思っています。そして、12月29日、両国国技館のメインにワールド・オブ・スターダム王者として立ちます」

リングを降りると明るい21歳の女の子【写真:橋場了吾】
リングを降りると明るい21歳の女の子【写真:橋場了吾】

目指すのは「アントニオ猪木」と並ぶこと

 9月に21歳になったばかりの鈴季が赤いベルトを奪取すると、いよいよ本人が明言している「プロレス界の顔になる」が現実味を帯びてくる。では、鈴季が考える「プロレス界の顔になる」とは具体的にどういうことなのか。

「アントニオ猪木になる、ことです。あえて『女子プロレスの顔』とは言っていないのは、猪木さんになることが目標だからなんです」

 昨年10月に惜しまれつつも亡くなった猪木さんが、プロレスラーとしての引退試合を行ったのは25年前の1998年4月4日。鈴季はまだ生まれてもいない。

「私は現役時代の猪木さんをリアルタイムでは知らないですが、誰もが考える「プロレス界の顔」は猪木さんだと思うんです。だから、猪木さんに並ぶこと、それが夢であり最終目標です」

 猪木さんといえば正統派のプロレスのイメージがあるかもしれないが、「五寸釘デスマッチ」や「巌流島の決闘」など、今のデスマッチに通じるプロレスの先駆者でもある。21歳にして、葛西純、竹田誠志、ドリュー・パーカーらデスマッチ界の大物との血闘を経験し、スターダムのトップに王手をかけている鈴季すず。その壮大な目標は、夢物語ではないような気がする。

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