名古屋の街で、新たな名物コンビが誕生だ。爆笑問題の太田光とフリーアナウンサーの石井亮次が、10月18日からスタートするCBCテレビの新番組『太田×石井のデララバ』（毎週水曜午後7時、東海エリア）でダブルMCを務める。東海地方をテーマに、“ド定番”のスポット・話題・人物を深掘りしまくる情報バラエティー。誰もが知る定番の“知らないところを探して紹介する”が番組のコンセプトで、徹底した“現場取材”を基に、有名店や名所の新発見を続々掘り起こしていく内容だ。ENCOUNT編集部は、9月20日に名古屋市内で行われた初回ロケに密着。そこには、好奇心そのままに楽しみながら収録に取り組む2人の姿があった。（取材・文＝吉原知也）

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　CBCテレビとして、11年ぶりのゴールデン帯のレギュラー番組。過去4回の特番放送が好評を呼び、特に台湾ラーメンの元祖「味仙」を取り上げた前回放送がバズリ、満を持してのゴールデン進出だ。

　ユニークな番組タイトルは、「デラ」は名古屋弁の「でら（とても・すごく）」と「デラックス」の2つの意味で、「ラバ」は「LOVER＝○○を愛する人たち」と掛け合わせたもの。初回は2時間スペシャルで、名物みそかつで知られる「矢場とん」を徹底解説する。約2か月にわたる270時間・700人への店舗密着取材、そして、熱狂的な矢場とんファンもトークに参加。熱量が込められた魅力紹介コーナーに加えて、1つの飲食店に夢中になった愛好家を追うヒューマンドキュメンタリーの要素も見どころだ。

　収録は名古屋・新栄のCBC本社から慌ただしく始まった。石井はCBC制作のTBS系昼の情報番組『ゴゴスマ～GOGO!Smile!～』の司会を務めており、生放送が終了してすぐに、スーツの衣装を着替えて待機していたロケ車へ。太田と石井がロケ車に乗り込むと、太田が早速、サザンオールスターズの楽曲をもじったギャグを繰り出し、石井がツッコミを入れる。和気あいあいと会話をスタートさせた。

　太田にとっては、CBCでのレギュラー担当は34年ぶり。デビュー当時以来だといい、「最初にレギュラーをもらったのがCBCなんだよ。それで人生たそがれ時に入って、よくこの番組で……」と感慨深げに話し始めると、今度は石井が「下り坂でね」と逆ツッコミ。太田は「骨を埋める覚悟でやって参りました。でもね、田中（裕二）は（他局で番組を持っていることで）CBCへの恩を忘れてるんだよ。俺はアイツとは違うから」といつもの相方いじりをかます一方で、「いやでも、恩を仇で返すかもしれない」と不敵な発言。石井はすかさず「いやいや、CBCが太田さんのスケジュールを1年間抑えちゃったんですから！」と切り返す。太田は「本当に名古屋は第二のふるさと。ぜひとも全国区で放送したいよね」と、“全国枠進出”の夢をぶち上げた。

　2人は過去に選挙特番などで共演しており、掛け合いやコンビネーションはばっちり。丁々発止のやりとりが繰り広げられ、車内は爆笑の渦に。そうこうしているうちに、最初の目的地に到着。番組ブレークのきっかけとなった、味仙への恩返しだ。「矢場味仙」を訪ね、お礼参りの番組ポスターを手渡した。

　そして、この日のメインである、矢場とんの矢場町本店へ。マスコットキャラクターのぶーちゃんが出迎えてくれた。太田はのっけからハイテンション。店頭のオープニング撮影ではカメラに顔を極限まで近付け、はしゃぎまくる。それとは対照的に石井は冷静に司会進行し、たまにおちゃめなボケをかます姿が印象的だ。

　店内収録はボリューム満点の内容だった。濃密な事前取材で判明した人気メニュートップ5、連日行列の味の秘密は、肉だけでなく付け合わせのキャベツからおかわり無料のご飯まで仰天の情報が次々と明らかになった。トークコーナーでは矢場とんに通い続ける熱狂ファンの人物ストーリーが披露され、太田ですら脱帽だった。

　お楽しみは、わらじとんかつの実食。みそかけ職人が登場して実演してもらうと、太田は「香りがいいね」とうなった。石井はまるでスポーツ実況のようにみそかけの瞬間を解説し、極意について熱心に質問していった。

　創業76年の矢場とんの歴史をひも解くコーナーも。矢場とんの旧本店跡地にのれんを出す関連店の「レストランわらじや」に足を運ぶと、2代目おかみが待っていた。おかみから自慢のハンバーグを振る舞ってもらい、2人は舌鼓を打った。石井は若い当時、おかみが店頭に立っていた旧本店に食べに来たことがあるそうで、思い出話に花を咲かせ、「名古屋のお母さんと呼ばせてください」と話していた。

　収録中に2人は何度も、「へぇ」を連発し、知的好奇心をそそられた様子だった。尾田真一プロデューサーは「ネット時代だからこそ、ネットでは分からない情報を伝えることをテーマに据えています。番組の取材は“足で稼いでとってくる”ことを重視しています」と自信を込める。

　トークも盛り上がって少々時間オーバーになったが、2人は夜になっても最後まで明るく楽しそうに収録をこなした。

　番組では今後、矢場とんを皮切りに、ココイチ、世界の山ちゃん、スガキヤ、あんかけスパ・ヨコイ、ブロンコビリー、あつた蓬莱軒、コメダ珈琲、山本屋本店を取り上げることを予定しており、名古屋・東海が誇る名物がめじろ押しだ。また、番組はTVerでも配信される。全国のグルメファンにとってもうれしい。

　収録を終え、太田は「最初から知らないことだらけ。とんでもない番組になるよ。今まで見たことない」と興奮気味に振り返った。「1つの食べ物屋になんでこんなに夢中になれるのか。1つの店で人生が変わる。人間を追求するヒューマンドキュメンタリーでもあることが、（初回収録を）やってみて、初めて分かった。この熱さが原動力。人間のエネルギーを感じた。1回1回で完全燃焼できる。それで、もうここが初回がピーク（笑）。いい番組に出合えたよ」と熱弁。新境地を切り開く番組になりそうだ。

　石井は大阪生まれながら、CBC出身のアナウンサーで、同局制作の『ゴゴスマ』のMCを務めていることもあって、名古屋の“顔”としても知られている。それでも、名古屋の“新発見”が盛りだくさんで、「本当に濃い中身です。『ここまでいくのか、ここも知らんかったなあ』の連続でしたよ」と舌を巻いた。

　46歳の石井と58歳の太田は、ひと回り年齢が違う。そんな“静と動”の2人の相性は抜群で、絶妙トークの新コンビを予感させる。太田は「親のようにどっしり構えてくれているので、頼り切っていますよ。だから安心して暴れ回ることができるね」と声を弾ませる。すると、石井は「太田さんはキテレツですよ。誰も思い付かないことを今日も5回ぐらい言ってました。天才です。太田さんの一番の“デラLOVER”になりたいです」と実感を込めた。