公開入門テストの合否で別れた運命 “不合格”の王者SANADAが“合格”内藤哲也を迎撃

18年越しの想いがついにかなうのか。SANADAと内藤哲也の「18年抗争」が決着する。

自論をアピールする内藤哲也【写真:柴田惣一】
自論をアピールする内藤哲也【写真:柴田惣一】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.166】

 18年越しの想いがついにかなうのか。SANADAと内藤哲也の「18年抗争」が決着する。

 2024年の日本プロレス界幕開けを告げる新日本プロレスの1・4東京ドーム大会で、IWGP世界ヘビー級王者・SANADAに内藤哲也が挑戦。メインイベントで勝利しベルトを手にするのはどちらだろうか。ファンと一緒になってアレで締めるのは「ギフト」のSANADAか「大合唱」の内藤か。

 SANADAと内藤は18年前の2005年11月3日、東京・後楽園ホールでの公開入門テストを受けている。SANADAは落ち、合格した内藤はヤングライオンから現在に至るまで新日本一筋でプロレス界のど真ん中を走り続けている。

 IWGPヘビー級王座に3回、君臨し、G1クライマックスも13年、17年、23年と3回制覇。実力や実績は元より、人気投票や会場での声援でも、棚橋弘至とトップを争っている。15年に結成したロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(ロス・インゴ)は新日本いや日本マット界でも人気と実力を誇る名ユニットである。

 かたやSANADAは全日本プロレスに入門した。世界タッグ王座を獲得するなど活躍し、海外遠征を契機に退団。帰国後はWRESTLE-1(W-1)に加わり、米TNAとW-1の二刀流を開始。日米両国マットで暴れまわっている。

 その後フリーとなり、米国、メキシコ、欧州を股にかけ凱旋。大日本プロレスなどに参戦後、16年に新日本マットに上陸。内藤率いるロス・インゴの一員となり、新日本マットの主力メンバーとして定着した。

 そして22年、ロス・インゴを脱退しJust 5 Guys入り。4月にはオカダ・カズチカからIWGP世界ヘビー級王座を奪い、新日本の頂点に達する。

「これ、夢ありませんか」のマイクアピには万雷の拍手と歓声

 10・9東京・両国国技館大会でベルトを強奪するなど悪の限りを尽くす「HOUSE of TORTURE」のEVILを退け4度の防衛を果たし、1・4東京ドーム大会のメインイベントでの内藤戦が決定。オオトリで東京ドームの長い花道を入場することになった。

「18年前の入門テストで受かった内藤がチャレンジャーで、落ちたSANADAがチャンピオン。これ、夢ありませんか」とマイクアピール。万雷の拍手と歓声を集めた。

 内藤は翌日の調印式で「彼は一番、若い受験者だった。でも落ちた人間はそこまで印象には残っていない」とクールに言い放つ。それどころか「存在感が上がっていない。ちょっと荷が重いのでは」とズバリ。王者としてのSANADAを厳しく評価した。

 SANADAは「このドームでしっかり結果を出し、存在感でも勝ちたい」と、いつも通り落ち着いて切り返している。

「18年越しの想い」を隠そうとしないSANADA。18年はかくも長い期間だ。生まれた子どもは成人する。曽我兄弟の仇討ちよりも長いのではないか。

 全日本時代からの兄貴分「闘う区議会議員」西村修は「この18年、彼の頭から不合格だった悔しさが消えたことはなかったはず。日本はもちろん海外マットで名前をあげた原動力だった」と証言する。

 V4を称え、1・4での「内藤越え」の前祝も決まっている。2人が好きなショートトリップ先での昼飲みだ。

 西村は「棚橋、オカダ、内藤の不動の王者たちの壁は高く厚い。1・4で負けたら振出しに戻り、新日本の未来もまた先の3人の時代に逆戻りとなる。ゼロの男となるか、世界制覇となるか、すべては1・4にかかる。人生最大の勝負だ」とゲキを飛ばす。

 果たして、1・4東京ドーム大会のエンディングは、内藤と大観衆の「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の大合唱か。それとも会場が一体となってスマホのライトをかざすSANADAの「ギフト」か。

 2024年の幕開けにどちらが勝ち、リングで輝くのか。西村が指摘するように「待ったなし」の大勝負。今からワクワクがとまらない。

次のページへ (2/2) 【写真】IWGP世界ヘビー級王者SANADAの晴れ姿
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