ゲームとアニメ『イナズマイレブン』の楽曲で知られる音楽ユニット・T-Pistonzが23日、24日の両日、千葉・幕張メッセで開催の「東京ゲームショウ2023」で9年ぶりの有観客ライブを行った。同ユニットは2014年9月に活動を休止し、21年12月に再始動。ただ、コロナ禍の影響でライブは配信のみだったが、新曲『笑顔がゴール！』が最新ゲーム『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』（株式会社レベルファイブ）のテーマ曲に決まったことに伴い、メンバーの3人（トン・ニーノ、コータ、インチ・キータ）がステージに立った。また、レベルファイブ設立25周年を記念した同ライブには、『妖怪ウォッチ』の楽曲でおなじみのキング・クリームソーダの3人も登場した。（取材・文＝柳田通斉）
　
　24日の昼公演。特設ステージ前には20代、30代の男女、子どもたち、外国人のファンが詰めかけた。T-Pistonzとしては9年ぶりの有観客ライブで、期待感が高まる中、メンバー3人とサポートダンサー2人が登場。ボーカルのトン・ニーノが「会いたがったぜ～」と叫ぶと、声出し禁止の中でファンは大きな拍手と笑顔で応じた。

　T-Pistonzは08年8月、ニンテンドーDSソフト『イナズマイレブン』及び同アニメの主題歌を担当する目的で結成。これまでに発表したシングルは、全て同名ゲームシリーズ・アニメシリーズのテーマソングに起用されている。そして、この日は『立ち上がリーヨ』を皮切りに、『てっぺんへダッシュ！』『感動共有！』など8曲を歌い、踊った。終盤にはロック調の新曲『笑顔がゴール！』を初披露。「♪回り道をしたのは必ず武器になる」「♪仲間達を喜ばし、笑顔にするのがゴールと決めた」などの歌詞に感動し、涙を流す観客もいた。

　同曲については、レベルファイブの日野晃博社長がブログで「主題歌チームには、10曲を書いてもらうことになってしまいました。度重なる『なんか違う』攻撃に、よくまあ耐え抜き、完成させてくれました。感謝です！」とつづったほどの苦心作。ライブ終了後には、メンバーそれぞれ思いを語った。

トン・ニーノ（ボーカル）「『この曲を聴いてお客さんが笑顔になってくれたらうれしい』という思いでいましたが、今日はマスクなしでくしゃくしゃになった笑顔を生で見られて、さらにテンションが上がりました。『笑顔がゴール！』にして良かったです」

コータ（ボーカル）「いろんな経験をしてきた僕自身も励まされる応援歌だと思って歌っています。歌詞1つ1つに深い意味があって、それが大きな力になっているので、『これからも生きていける』という思いでいます」

イン・チキータ（ラッキィ池田に似ているダンサー、振り付け担当）「ロックサウンド、ギターサウンドのイメージでエアギターを入れた振りを付けました。このユニットも紆余曲折があった中、『笑顔でゴォール！』はピッタリの曲で、今は『回り道じゃなかったなったんだ』という思いです。日野さんのコメントであらためてそれを感じました」

　2日間で計4公演を完走したT-Pistonz。今後も有観客ライブを開催していく方針で、トン・ニーノは「一刻も早くまたやりたい気持ちです。『小学生の時から好きだけど、今は歌詞の意味がよく分かるようになって胸に刺さります』と言ってくださるファンの方もいますので」と話した。9年前は子どもたちが多かったファン層は、時を越えて大きく広がった。これまでのイナズマイレブン関連楽曲は今月20日にサブスク解禁。海外でも支持されているアニメ、ゲーム作ゆえにT-Pistonzの可能性も広がりそうだ。