本木雅弘、約10年ぶり民放ドラマ出演 10kg減量で“ミスター・ラグビー”平尾誠二さんを熱演

俳優の本木雅弘が11月11日放送のテレビ朝日系ドラマスペシャル『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』(土曜午後9時)で主演を務めることが20日、発表された。民放ドラマへの出演は約10年ぶりで、今作に出演する滝藤賢一と初共演を果たす。

平尾誠二さんを演じる本木雅弘【写真:(C)テレビ朝日】
平尾誠二さんを演じる本木雅弘【写真:(C)テレビ朝日】

主題歌は松任谷由実の『ノーサイド』

 俳優の本木雅弘が11月11日放送のテレビ朝日系ドラマスペシャル『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』(土曜午後9時)で主演を務めることが20日、発表された。民放ドラマへの出演は約10年ぶりで、今作に出演する滝藤賢一と初共演を果たす。

 日本代表の活躍で注目の集まる「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」。本作は、そんな現在のラグビー界の礎を築いたと言われるラグビー界の伝説“ミスター・ラグビー”平尾誠二さんと、「ヒトiPS細胞」の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の知られざる友情物語をドラマ化。

 ラグビーと医学というまったく異なる分野で活躍する2人の出会いは、2010年に実現した雑誌の対談。意気投合したふたりは、急速に親交を深め、やがて家族ぐるみの付き合いをする親友に。40歳半ばを過ぎてできた親友と、いつまでもこんな関係を続けていけたら……。しかし、そんな2人の願いはかなわず、2015年に平尾ががん宣告を受ける。本作では、前向きに病と闘う平尾と、医師として治療法や病院探しに奔走し、最後まで親友に寄り添い続けた山中の友情、そして平尾の意志を尊重し、優しく見守り続けた家族の深い愛情を描く。

 そんな平尾を約10年ぶりの民放ドラマ出演となる本木が熱演。平尾さんが病に侵されていく様を体現するため、本木は撮影中に10キロ減量するなど渾身の役作りで本作に挑んだ。また、山中教授を演じるのは、本木のラブコールを受けた滝藤。2人は本作が初共演となる。

 さらに本作の脚本を、『Dr.コトー診療所』(2003年)、『リエゾン‐こどものこころ診療所‐』(2023年)をはじめ、ヒューマンドラマの名手として名高い吉田紀子氏が担当する。大のラグビー好きとしても知られ、生前の平尾さんとも交流のあった吉田氏は、本木とタッグを組んだドラマ『君と出逢ってから』(1996年)で、本木の演じた主人公の名前を平尾さんから取って“誠二”にしたという逸話の持ち主。

 主題歌は、松任谷由実の『ノーサイド』に決定。松任谷がラグビーの試合を観て感動して書いたというまさに本作の世界観にマッチする楽曲で、本木も「プロデューサーの方から、この楽曲を考えていると撮影現場でお聞きした時に、嬉しさのあまり、妻役の女優さんと一緒に思わず口ずさんでいました!」と大喜び。「ノーサイドという言葉には、『試合が終われば、敵、味方もなく、勝ち負けを越えて互いを讃えよ!』というラグビーの精神が込められているそうです。それが示すように、全ての人生を包み込む名曲だと思います」と語った。

本木「プレッシャーというか畏れ多さというか…」

 本木と滝藤のコメント全文は以下の通り。

○本木雅弘

「平尾さんを演じるプレッシャーというか畏れ多さというか……正直なかなか覚悟がつかないままにクランクインを迎えました。でも、初日の撮影で、平尾さんが1986年の神戸製鋼入社以来、30年間通い続けた灘浜グラウンドという聖地に立たせていただき、この作品に命が宿り始めた実感が湧きました。私自身はスポーツに疎いのですが、知れば知るほど、平尾さんの言う『人間の力というものの可能性』を夢見させてくれるのがラグビーなんですね。あのグラウンドにはそういった煌めきが散りばめられている感じがして、とても眩しく見えました。

『こんな男はもう出現しない。みんなで平尾誠二を分けるしかない』と評した方がいらっしゃるのですが、確かに自然体でありながら特異なオーラを放った姿はとても再現できるものではありません。私が演じたのも平尾さん晩年のほんの一場面に過ぎませんが、あのノーベル賞受賞者の山中さんとの交流の中で生まれた親愛ともいう友情を受けて、平尾さんは病を前にしても自然体を心がけ、最後まで魂を磨き続けて、その輝きを全うした方なんだなと感じます。現実を落ち着いて受け止め受け入れ、自分の中で静かにその局面を凌駕する……そういう内面のたくましさを滲ませられたらという思いで演じました。

 今作で初めて知った平尾さんと山中教授の関係ですが、普段、冷静沈着に映る山中さんが、実はラグビー経験者で情に厚い方と知って新鮮な驚きがありました。胸にたっぷりの情を抱えた方のイメージで、いつもジワっと瞳を潤ませ、心を寄せてくるお芝居が印象的な滝藤さんは適任だと思います。事実、山中さんが平尾さんに誠心誠意の伴走を繰り広げたのと同じく、自分にとっても滝藤さんの静かな包容力が響き伝わり、平尾さんを演じる中で大きな支えになりました。

 そして、本当は秘めておくべき事かもしれませんが、実は今回、ご遺族さまのご厚意により、平尾さんが実際に愛用、着用されていた品々をいくつかお借りすることができました。大変恐縮しながらも袖を通させていただき、身に纏うと、これ以上にない大きな力が吹き込まれた思いがしました。物語の中で、家族、仲間に宛てたさりげなく深い愛情の込められたそれらの言葉は、正に平尾さんを通して発せられたものという気がします。淋しさも募りますが、このような形で平尾さんと共演できたことは、役者としてとても貴重かつ幸せな体験でした。2023年ラグビーワールドカップの盛り上がりを期待するのは勿論のこと、『友情』という作品を通して、山中さんと平尾さんの思いを皆さんで共有し、日本ラグビーが、より拡く深く愛されていくことを心より願っています」

○滝藤賢一

「中盤以降は辛く苦しいシーンが多かったのですが、本木さんはじめ笑顔あふれるキャストの皆様、藤田監督率いる優秀なスタッフの皆様のおかげで、最後まで心穏やかに作品と向き合うことができました。そしてなんと、山中さんも撮影の見学に来てくださったんです。テレビで拝見していると、厳しい表情をしていらっしゃることが多い印象でしたので、ドキドキしましたが、目の前にいらした山中さんは、とても穏やかで謙虚な方で感動しました。

 山中さんは世界的に有名な方なので、演じることは困難なチャレンジになるだろうと感じていましたが、本木さんにお会いしたら、その不安も吹っ飛びましたね。本木さんは憧れの俳優さんです。僕は学生時代から、そしてこの世界に入ってからも本木さんの作品を何本も拝見しております。本木さんとの撮影はとても幸せな時間でした。僕の言葉、リアクションはすべて本木さんによって生まれると信じて疑わなかったので『僕は本木さんしか見ていません』というようなことも、本木さんにお伝えさせていただいたように思います。

 本木さんは現場ですごく悩みながら平尾誠二さんを構築されていたように思います。これだけの俳優さんでも、苦しみながら、迷いながら、平尾誠二という1人の人間を作っていく。その様を間近で見せていただき、感慨深く、とても刺激を受けました。そして食事制限をされ、とても短い期間で10キロ以上体重を落とされた姿を見た時は衝撃でした。絶句しましたよ。本木さんの平尾誠二さんにかける思いは壮絶でしたね。

 撮影のない日も食事制限は続くわけですから、四六時中平尾誠二さんでいるわけですよ。だから僕も“休みの日も山中さんでいなきゃいけない“という、使命感といいますか、プレッシャーといいますか、凄まじかったですよ(笑)。そういう意味でも、すごくいい影響を与えていただきました。現在、『ラグビーワールドカップ2023』が盛り上がっているところですので、僕も全力で楽しみたいです。そして、多くの子どもたちがラグビーを好きになり、始めてくれたら最高ですね。この作品が、その後押しをできたらうれしいです」

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