花やしき開園170年、知ってるようで知らない魅力 派手さはなくても長く愛されるワケ

日本最古の遊園地「浅草花やしき」(東京・台東区)が8月7日に開園170年を迎えた。節目を迎える前の7月20日には園内にある、お化け屋敷など3つのアトラクションを一新。夏休みを楽しむ家族連れなどでにぎわっている。株式会社「花やしき」の西川豊史社長は「花やしきは、浅草という街に育ててもらった。これからも何世代にも渡って愛される遊園地になれば」と願っている。

株式会社「花やしき」の西川豊史社長【写真:ENCOUNT編集部】
株式会社「花やしき」の西川豊史社長【写真:ENCOUNT編集部】

人気のパンダカー焼き 8年ぶりに再販

 日本最古の遊園地「浅草花やしき」(東京・台東区)が8月7日に開園170年を迎えた。節目を迎える前の7月20日には園内にある、お化け屋敷など3つのアトラクションを一新。夏休みを楽しむ家族連れなどでにぎわっている。株式会社「花やしき」の西川豊史社長は「花やしきは、浅草という街に育ててもらった。これからも何世代にも渡って愛される遊園地になれば」と願っている。

 花やしきは、ペリーが来航した1853年に、造園師の森田六三郎により、牡丹と菊細工を主とした花園として誕生。1872年頃からは、遊戯施設が置かれたほか、動物の飼育もスタートし人気を博した。関東大震災や戦争などの影響で休園した時期もあったが、1947年に再び開園。53年に設置し、今も現役で活躍するローラーコースターは浅草名物として多くの見物人を集め、街の発展にも寄与した。

 170年の節目を盛り上げようと、園内の2階部分に新設したアトラクションは3つ。目玉は「四谷怪談」「番町皿屋敷」など歌舞伎などにも描かれる、江戸4大怪談をモチーフにした約6分ほどの内容にした「お化け屋敷~江戸の肝試し」だ。スタッフの男性は「自分で歩いてめぐるウオークスルー型なので、勇気を持って足を踏み入れてほしい。夏の暑い日、背筋が凍るような恐怖体験を楽しんでもらえるはず」と呼びかけている。

 映像型アトラクション「パノラマ時間旅行」は、2016年に引退したアトラクション「Bee タワー」から一望できた浅草の街並みを再現したもの。江戸の城下町を上空から眺めるなど、ユニークな仕掛けもある。現れる妖怪を専用のデバイスを使って探す「摩訶不思議!? 君もスクープカメラマン」は新聞記者になり切って、園内をめぐる周遊型のアトラクション。見つけた妖怪の数で、完成した新聞に変化があるという。

 ほか1階部分には、造園師の森田が大切にしていた「花」を1年中楽しんでもらいたいと、プロジェクションマッピングなどを活用した空間デザインを手掛けるクリエーティブ集団「ネイキッド」とコラボレーションしたエリア「NAKED花景色」を新設。現代のテクノロジーとエンターテインメントを組み合わせた幻想的な花園が広がっている。施設内にある飲食施設「お花見茶屋」では、名物「パンダカー焼き」が8年ぶりに復活したほか、見た目もかわいらしい「花むすび」などを提供する。

 西川社長は「地元の方々に支えられてきた170年。花やしきは、新しい要素を取り入れながら、園ならではの味わいを守って来ました。日本で現存する最古の『ローラーコースター』は『親子3世代で乗りました』という声もいただきました。『懐かしい』『昔と変わらないね』という言葉は、何よりの誉め言葉。大規模な遊園地の華やかさには太刀打ちできませんが、10年、20年先も、ほのぼのとした花やしきを守っていきたい」と力を込めた。

次のページへ (2/2) 【写真】江戸時代に開園した当時の写真や、1970年代の園内の貴重な写真
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