音楽職人30年・亀田誠治が「平気で変われちゃった」 コロナ後の“新しい音楽制作”とは

昨年の日比谷音楽祭のドラムサークルの様子(C)日比谷音楽祭実行委員会
昨年の日比谷音楽祭のドラムサークルの様子(C)日比谷音楽祭実行委員会

「もしかしたら新型コロナウイルスをきっかけに、新しい形の芸術が生まれるのかも」

――音楽業界の現状は、とりわけ大規模コンサートが困難な状況で、コンサートの形も大きく変わっていきそうです。

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「今の段階ではコロナの正体がつかみきれていません。治療法が進めば違ってくると思いますが、しばらくは大人数を集めるコンサートは難しいのではないかと感じています。ただ、トライアンドエラーをしながら僕たちがこの制約に慣れていかないといけません。コンサート配信も、有料で行う形が定着すれば、映像の技術班、楽器周りのプロフェッショナルの出番がやってきます。そろそろ有料でコンサートを配信するという形が定着するべき時なのではないかと思います。もちろん、レディー・ガガがやった「One World:Together At Home」のようなチャリティーも大事です。フロントラインワーカーの人たちに応援する気持ちを伝える、つまり困難な状況にある人を救うためのチャリティー配信も続いていくと思います。無料配信のその先で、お客さんを一か所に集めないでどういうことができるのか。それをマネタイズするやり方が主流になっていくのではないかと考えています」

――日比谷音楽祭は公式YouTubeチャンネルも立ち上げて、動画コンテンツの配信にも取り組んでいます。誰でも参加可能なリモート形式の音楽の審査会や料理配信までバラエティーに富んでいます。

「YouTubeの配信はコロナを想定せずに元々始めていたんです。フリーでボーダーレスな音楽祭ということで、動画で世界中に向けて日比谷音楽祭や日本の素晴らしいアーティストを発信するための窓口を作っておきたいと考えていたんです。マネタイズも含めYouTubeの可能性をポジティブに捉えている世代もいます。一方で、YouTubeは無料によって音楽産業を侵略しているのではないかといったネガティブな考え方をする人もいます。そのギャップを埋めたくて、僕のほうからYouTubeの世界に飛び込んでいきました。具体的には今まで接点のなかったYouTuberのみなさんに協力をお願いしました。グッドモーニングアメリカのベーシストのたなしんに、プロデューサーとして参加してもらっています。今回のクラウンドファンディングをスタートした時もメッセージ動画をアップしました。自分の言葉で語れて、それがすぐ届く。本当にありがたいです。今後もコンテンツを増やし、YouTubeで日比谷音楽祭のステージを配信することも考えています」

――今後の日比谷音楽祭に向け、今後の音楽人としての生き方についてどう考えていますか。

「問題提起をするだけじゃなくて、希望を与えて結果を出していきたいです。自分自身も希望を持ちながら進んで、トライアンドエラーをしながら。コロナの時期に生まれた新しいコミュニケーションの仕方、新しいものづくりの在り方にしっかりと応用することです。これを乗り越えたいです。自分は可能な限り、いまこの時期に生まれている、そしてこれから生まれてくる新しい才能、芽を絶対に摘まないように、ちゃんと水やりができるようなアクションをどんどん起こしていきたいです」

――また新しい何かが生まれてくるのかもしれません。

「2020年に新型コロナウイルスという感染が世界中で流行った。それがきっかけで音楽・エンタメ業界が変わった。それも、ポジティブに変化して……。そんな歴史に立ち会っている気がしています。過去の歴史を振り返ると、ペストの大流行の後にイタリアでルネサンスが始まったんですよね。レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロといった、それまでの規格を超えた天才、才能が現れました。もしかしたら新型コロナウイルスをきっかけに、新しい形の芸術が生まれるのかもしれません。ポジティブなエネルギーに満ちている。そういう時代がまもなくやってくるのではないか。そういう気がしています」

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