「このクルマなんですか?」 大黒PAで注目、世界の愛好家も思わず…世にも珍しい存在感

「このクルマなんですか?」――。愛車を見てもらって、こう反応されるのが、何よりの喜びだ。51歳の男性オーナーが乗るのは、ホンダS660 ネオクラシック。ボディーキットが限定100個発売され、27個が販売となったという、世にも珍しい仕様だ。個性派オーラ満載の1台にかける情熱に迫った。

珍しいホンダS660 ネオクラシックは耳目を集める1台だ【写真:ENCOUNT編集部】
珍しいホンダS660 ネオクラシックは耳目を集める1台だ【写真:ENCOUNT編集部】

「シビック タイプRと同じ値段だよねって(笑)」

「このクルマなんですか?」――。愛車を見てもらって、こう反応されるのが、何よりの喜びだ。51歳の男性オーナーが乗るのは、ホンダS660 ネオクラシック。ボディーキットが限定100個発売され、27個が販売となったという、世にも珍しい仕様だ。個性派オーラ満載の1台にかける情熱に迫った。(取材・文=吉原知也)

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 軽規格のオープンスポーツカーとして知られるS660。純正品のボディーキットの“着せ替え”を施したユニークなモデルだ。大きな丸目のヘッドライトが印象的。「旧型のホンダN-ONEのようなヘッドライトなんです。カラーリングは自分で選べたので、カーニバルイエローにしました。かわいい見た目が気に入っているんです。速さではなく、この形がいいんですよ!」と目を輝かせる。

 もともとS660に乗ろうと探していたところで、この特徴的なネオクラシック仕様を発見。「なんだこれ!」が第一印象で、「ひと目ぼれ」で購入した。ネオクラシックの販売が終了した2021年5月のことだ。S660自体も22年春で生産終了となっている。

 こだわりを実現するには、それなりの費用もかかった。「このボディーキット代は132万円で、塗装や組みつけなどもろもろで250万円ぐらいになります。車両価格が200万円ちょっとだとすると、500万円近い軽自動車になります。だから、なかなか売れなかったのかな(笑)。友人のシビック タイプRのオーナーと話していたんですが、そうなるとタイプRと同じ値段だよねって(笑)。値段だけはかわいくないんです」と笑顔で語った。

 あえて、ホンダのエンブレムを付けていない。そこにも、ちゃんとした理由がある。

「パッと見で、何のクルマか分からないでしょう。『何ですか』と話しかけられますよね。このクルマを見て“はてなマーク”が浮かんだ方々と、そこで会話が始まり、コミュニケーションがとれる。そこが面白いんです。ホンダのディーラーさんだって、点検に出す際に『このクルマなんですか?』って聞かれることがあるんですよ(笑)」。

 イベントやオフ会だけでなく、スポーツカーなどの愛好家が集まる神奈川・大黒パーキングエリア(PA)にも繰り出すといい、注目の的になることが自慢の1つだ。「例えば、海外高級スポーツカーは、見た瞬間にグレードや年式が分かる人が多いと思います。でも、このクルマはホンダ好きの人でも、分かる人はあまりいないのではないでしょうか。フェラーリやポルシェに、ある意味負けないぐらいの注目度がありますよね」。実際にカーミーティングでの取材時、ソニックグレーパールの別オーナー車も駆けつけ、デンマークと米国のクルマ愛好家が珍しがって写真に収めていた。男性オーナー自身、ちょっとした驚きをもたらす独特な存在感に、すっかり魅了されている。

 ホンダ・プレリュードに始まり、シビックは「何台乗り継いだか分からない」。それほどのホンダ好きが巡り合った、「異色の1台」。ずっと大事にしていく覚悟だといい、「ボディーパーツの供給があと4年で止まると聞いているので、少し気になりますが、お金で直せるのならそこは惜しみません。できる限り乗っていきたいです」と力を込めた。

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