タバコのポイ捨てで魚が全滅…12年続いた水族館が野外施設閉鎖へ「本当に残念でなりません」

タバコのポイ捨てが原因で水槽の魚が死滅……。ある水族館が野外水槽での凄惨(せいさん)な被害を投稿、ネット上で批判の声が殺到している。投稿を行ったのは、子どもたちのために入場料を一切取らず、寄付金のみの運営で開園12年目を迎えた京都花園教会水族館。再発防止のため、残念ながら今後は野外展示を全て撤去、屋内展示のみで運営していくとしている。苦渋の決断に至った館長の篠澤俊一郎さんに、一連の経緯を聞いた。

タバコのポイ捨ての被害に遭った野外水槽と一連の経緯を報告した看板【写真:京都花園教会水族館提供】
タバコのポイ捨ての被害に遭った野外水槽と一連の経緯を報告した看板【写真:京都花園教会水族館提供】

入場料は無料、年間200万円ほどにのぼる運営費を全て寄付に頼って運営

 タバコのポイ捨てが原因で水槽の魚が死滅……。ある水族館が野外水槽での凄惨(せいさん)な被害を投稿、ネット上で批判の声が殺到している。投稿を行ったのは、子どもたちのために入場料を一切取らず、寄付金のみの運営で開園12年目を迎えた京都花園教会水族館。再発防止のため、残念ながら今後は野外展示を全て撤去、屋内展示のみで運営していくとしている。苦渋の決断に至った館長の篠澤俊一郎さんに、一連の経緯を聞いた。

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「許せない!! タバコの吸い殻で野外水槽の魚がほぼ死に絶え、子どもの憩い場が奪われました。当館の野外水槽のコイや金魚が立て続けて死んだので原因を調べるべく水槽内を調査したところ、一本タバコの吸い殻がでてきました。ニコチンは殺虫剤に使われる程に毒性が強いです。一本で野外水槽全滅です。絶対にやめて下さい。当面、野外水槽展示は中止させて頂きます」

 今月27日、京都花園教会水族館がタバコのポイ捨てによる甚大な被害を投稿。続く投稿では「稚魚から手塩に育ててきた子達や飼育放棄で引き取った子達でした。貴方にとってはただの魚かも知れませんが、貴方が考えている以上のバックグラウンドがあるんですよ。死んだ魚達にはただただ本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」「12年続いた野外水槽ですが、大変残念ではありますが、生き物の命が危険に晒される可能性がある以上、これを機に撤去する事に致しました」「このような結論になりました事を深くお詫びすると同時に、ご理解の程、何卒宜しくお願い致します」と苦しい胸中をつづっている。

 京都花園教会水族館は2012年、京都の日本ナザレン教団花園教会の中に開園。淡水魚を中心に、は虫類や両生類、甲殻類など190種500匹あまりを飼育・展示している。入場料は無料で、年間200万円ほどにのぼる運営費は全て寄付によってまかなってきた。

「娘のために教会の敷地内で魚の飼育を始めたところ、『生きた魚を初めて見た』という男の子がいて、貧困格差を実感しました。経済的な事情から水族館に行けない子どもたちにも生き物の姿を見せてあげたいと、1円たりとも取らないことを一貫して続けてきました」と篠澤さん。

 今回被害に遭ったのは園内に設置された野外水槽。比較的気温や水質の変化が激しい野外の水槽で長年生きてきた丈夫なコイやフナ、金魚たちが、1~2週間ほど前から突然バタバタと死に始めたという。

「最初は自分の管理不足かとも思ったんですが、水を入れ替えても死に続ける。別の水槽に入れ替えたら、今度はその水槽の魚まで死んでしまって。何かしらの中毒症状を疑い始めたところ、26日になって野外水槽の底からタバコの吸い殻が一本出てきた。ニコチンは水溶性ですし、水槽は池のような造りで水の循環がないので、たった一本でも毒素が蓄積していく。これが原因だったのかと判明しました」

 野外水槽にいた50~60匹の魚のうち、コイは全滅、生き残ったのはフナ1匹、金魚5匹で、それも中毒症状があり、いつまで生きていられるかは分からないのが現状だ。再発防止の対策が取れないことから、水族館では野外展示を全面的に撤去。今後は屋内展示のみで運営していくという。

 篠澤さんは「防犯カメラの映像も残っておらず、悪意を持って捨てたのかは分からない。ただ、また同じことが起こり得る以上、生き物の命を危険にさらすことはできません。今は野外水槽の前に一連の経緯と撤去のお知らせを貼っていますが、子どもたちにもショックを与えたくない。一般公開のある土曜日までには全て片づけるつもりです。子どもたちには本当に申し訳ないし、残念でなりません」と話している。

次のページへ (2/2) 【写真】遺棄されていたものを引き取った京都花園教会水族館のナイルオオトカゲ
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