eスポーツが描く日本の未来像とは…日本eスポーツ連合・浜村弘一副会長に聞く

さらなる認知度アップと普及を目指す
さらなる認知度アップと普及を目指す

「主催大会を年に最低2回」 日本eスポーツ連合の多様な取り組み

――海外大会への選手派遣もサポートしています。サポート体制は。

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

「アジア大会など国際的なeスポーツ団体が開催している大会に関しては、われわれが選手を派遣していき、日本代表を応援したいと考えています。スタッフを同行させて現地の対応に問題がないかを見ますし、場合によっては渡航費や滞在費を日本eスポーツ連合で出すこともあります。ただ国際大会の場合は主催者側が費用を出す例もあるので、足りないところをわれわれで補うという形です。物心両面で支えます」

――派遣対象はどのような大会でしょうか。

「例えば、国際オリンピック委員会(IOC)への加盟を目指す国際eスポーツ連盟(IESF)という団体が主催する大会「eスポーツワールドチャンピオンシップ」が毎年12月に行われています。この大会について、(9月12日~15日にかけて開催される)「東京ゲームショウ2019」では、「eFootball ウイニングイレブン 2020」「鉄拳7」「DOTA2」の日本代表選手の選考会を行います。ほかに、アジアeスポーツ連盟(AESF)という国際団体があります。AESFは冠が付く大会を開催しようとしているので、そこにも選手派遣を考えています」

――他方で、賞金総額でみると、億単位となる海外の大会と日本の大会とでは差があります。

「日本は後進国なので、なかなかまだ大きな金額には至っていませんが、これからだと思います」

――プレー環境や認知度を向上させるため、どのような取り組みをしていくのでしょうか。

「eスポーツの選手は賞金だけで食べているわけではなく、協賛・スポンサーが付いて、ユニホームにロゴを付けて月額いくらともらっているケースが多いです。選手たちの実績が問われます。日本eスポーツ連合としては海外大会への選手派遣などを通して、実績を誇れるものにしてあげたいという考えです。実はeスポーツのプロにはいろいろなパターンがあります。例えば、プロチームに所属している選手。プロを目指している方ですが、仕事はアルバイトで、自称プロという方もけっこういます。フリーの方もいます。日本eスポーツ連合のプロライセンス保持者は公式HPに掲載され、名前を検索できるシステムになっています。そういった意味で、スポンサーは選手を見つけやすく、分かりやすく『プロである』と言えます。それは選手にとって財産になると思っています」

――今後の展開、向かうべき姿は。

「eスポーツを通して青少年の心身の育成というところでスポーツ団体として臨んでいるところですが、特にやらなければならないのは普及です。われわれのできることは日本代表を決め、世界各国に選手を送り込んでいくこと。さらに、普段面ではeスポーツと関わりのない人をファンにする役割もあります。IPホルダーが自分たちでリーグ戦を開催したり、興行団体がイベントをやったりすることもありますが、われわれの役割としては、もっと公の認知度をアップさせたいと考えています。これから日本代表戦をどんどん大きくしていき、国体のような組織・大会を運営していきたいと考えています。具体的には、主催大会を年に最低2回できればと思っています。国体自体も続いていくので、正式な競技化を目指して、eスポーツのひとつのインフラにしていきたいと考えています」

――eスポーツに興味がない人に、どのような関わりや、きっかけを持ってほしいですか。

「ほかのスポーツと同じで、例えば日本代表を応援するとか、母校のチームを応援するとか、地元を応援するような感覚で見ていただければ。どのタイトル・大会でも構わないですが、実際に見てみれば面白いものなので、一度先入観を捨てていただき、インターネットでもすぐに見ることができるので、一度挑戦してほしいです」

――それに、将来的な五輪の種目入りを目指したいですね。

「対応していきたいと思っています」

□浜村弘一(はまむら・ひろかず)1961年、大阪生まれ。58歳。一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)副会長。1986年、ゲーム総合誌「週刊ファミ通」(当時は「ファミコン通信」)創刊から携わる。「週刊ファミ通」の編集長に就任したのち、株式会社エンターブレイン代表取締役社長、株式会社KADOKAWA取締役を経て、現在は同社デジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーを務める。また、ファミ通グループ代表として、さまざまな角度からゲーム業界の動向を分析し、コラムの執筆なども手掛ける。昨年1月に設立した日本eスポーツ連合の副会長として、日本におけるeスポーツ産業の普及とさらなる成長・発展に向けて活動中。著書に「ゲームばっかりしてなさい。―12歳の息子を育ててくれたゲームたち―」(KADOKAWA)ほか。

〇…日本eスポーツ連合(JeSU)は、「東京ゲームショウ2019」で、ステージ開催やブース出展でさまざまなeスポーツ大会や体験会を実施する。https://jesu.or.jp/tgs2019/  また、9月12日、13日は、関係者向けのビジネスデイだが、「e-SPORTSクロスJeSUステージ」のみ、事前登録で一般ユーザーも無料で入場可能だ。

(ENCOUNT編集部・吉原知也/Tomoya Yoshihara)

トップページに戻る

1 2
あなたの“気になる”を教えてください