「ファイプロ」30周年 根強い支持を受ける理由とeスポーツ参入の可能性

今年でシリーズ30周年を迎える「ファイヤープロレスリング(ファイプロ)」。数あるプロレスゲームの中でも、今も圧倒的な支持を受け続けている。累計売上本数は350万本以上。その人気のヒミツを探るともに、ファイプロのプロデューサーにeスポーツへの参入の可能性を聞いてみた。

シリーズ30周年を迎えたファイプロ
シリーズ30周年を迎えたファイプロ

極めてマニア寄りのハードでデビューしたファイプロ

 今年でシリーズ30周年を迎える「ファイヤープロレスリング(ファイプロ)」。数あるプロレスゲームの中でも、今も圧倒的な支持を受け続けている。累計売上本数は350万本以上。その人気のヒミツを探るともに、ファイプロのプロデューサーにeスポーツへの参入の可能性を聞いてみた。

 最初のファイプロが発売されたのは1989年。NECホームエレクトロニクス株式会社から発売されたハード「PCエンジン」だった。

 1983年に発売された「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」でもプロレスゲームは数々発売されており、当然、ファイプロもファミコンで発売されるものだと思われていた。だが、ファイプロはPCエンジンという、ゲーム機としては極めてマニア寄りのハードで”デビュー”したのだ。

 その後も様々なゲーム機で発売され、現在はPlayStation(R)4版とSteam版「ファイヤープロレスリング ワールド」として発売中だ。世界中のプレイヤーとネット対戦可能で、国内最大手の新日本プロレスリングや人気女子プロレス団体スターダムの実名選手をゲームに登場させるなど、今もプロレスファンから熱い支持を受けている。

実名選手が登場し大きな話題になった
実名選手が登場し大きな話題になった

”ファイプロ前”と”ファイプロ後”に分けられるプロレスゲームの世界

 従来のプロレスゲームはテレビ中継と同じような視点が多かったが、ファイプロはリングをひし形に見せる視点にした。これがとにかく斬新で、多くのプレイヤーが惹きつけられた理由だ。

 さらに、技のかけ方もいわゆるボタン連打ではなく、寸分の狂いも許されない、タイミングだけが勝負のものにした。技を出す間合いが勝敗を大きく左右し、ある種“居合術”にも似たものになっている。

 こうした従来のプロレスゲームが持っていた連打の速さで勝敗が決まるものとは一線を画した構成は、プロレスゲームのスタンダードとして定着。「プロレスゲームといえばファイプロ」と言われるまでになった。

プロレスゲームの常識を覆したゲームシステム
プロレスゲームの常識を覆したゲームシステム

 そして、ファイプロの根底にあるのは勝敗を超越した試合にある。もちろん、勝ち負けも大事だが、プレイヤーの脳裏には実際のプロレス同様に技を受けて、耐えて、耐え抜いた挙げ句に勝利し、名勝負を残したいという欲求がある。それに、見事に応えているのがファイプロと言えよう。

 そこで気になってくるのが、eスポーツとして競技が行われる可能性だ。ファイプロの発売元である株式会社スパイク・チュンソフトのプロデューサー松本朋幸氏はこう話した。

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