LGBT法案、当事者らが強い懸念 外国のパスポートで「女性」でも「日本の女湯に入っていいわけない」

性的少数者らによる「性別不合当事者の会」など4団体が1日、都内で緊急会見を開き、今国会で成立の可能性があるLGBT理解増進法案について性自認の法令化への反対と、審議にあたり慎重な議論をするよう訴えた。

4団体が都内で緊急会見を開いた【写真:ENCOUNT編集部】
4団体が都内で緊急会見を開いた【写真:ENCOUNT編集部】

「性自認の法令化問題」について4団体が緊急会見

 性的少数者らによる「性別不合当事者の会」など4団体が1日、都内で緊急会見を開き、今国会で成立の可能性があるLGBT理解増進法案について性自認の法令化への反対と、審議にあたり慎重な議論をするよう訴えた。

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 会見を開いたのは、「女性スペースを守る会」、「白百合の会」、「平等社会実現の会」を含めた4団体。トランス女性3人、バイセクシャル女性1人など各団体を代表したLGBTの当事者も出席した。4団体は政府と各党に共同要請書を提出し、4月には担当の森まさこ首相補佐官とも面談。「性自認による差別は許されない」との文言を盛り込むLGBT理解増進法案に強い懸念を示した。

 LGBT理解増進法案は2021年に国会提出が見送られた経緯がある。司会を務めた滝本太郎弁護士は、この2年の間で法案が置かれた状況は全く異なると指摘。「その後、より成立させるべき状況になったのか、そうでないのか」と、問いただした。この間、先行した欧米の国々では、国際的なスポーツ団体が、トランス女性の女性カテゴリーへの出場を認めない決定を下すなど、性自認を巡る問題が次々と報告された。また、国内でもトランス女性による女性専用施設の利用問題や女性専用トイレの廃止問題、女性スペースの安全性を求める議論などが大きな注目を集めるようになった。

 4団体はLGBT理解増進法案について、「性自認」の定義があいまいで、「何を持って不合理な差別だとするのか」の議論もないまま進んでいることを危惧している。そのような状態で成立してしまえば、男性器を持つ女性の主張は正当化され、運動や訴訟に活用されるリスクがあると指摘。一方で、もともとある女性の権利は揺らぎ、性犯罪が起こる可能性も高まるとしている。

 滝本弁護士は、「諸外国では性自認で性別変更ができるという制度が始まってきている。アメリカではパスポート上は自分の申告で男性か女性になれる。つまり、男性器があってパスポート上女性になっている人がすでに日本には結構来ているんだという問題があります。外国のパスポートで女性になっているからといって、日本の女湯に入っていいわけではないということをはっきりさせなければ、トラブルはいつ起こってもおかしくない」と、語気を強めた。

「女性スペースを守る会」の森谷みのりさんは、女性専用がないことで賛否を呼んでいる東急歌舞伎町タワーの2階トイレについて、「友人女性が設備の様子が心配で実際に行きましたが、女性用個室に入ったらドアノブを外からガチャガチャされて怖くて用を足さずに出たそうです」と発言。東京23区の公共トイレから“女性専用”が次々となくなっている現状について、「女性専用のものとして被害から身を守る防犯の機能が忘れられていいのでしょうか」と、声を上げた。

 同法案は、与党内にも19日に開幕する先進7か国首脳会議(G7広島サミット)までの成立を目指そうという動きがある。

「平等社会実現の会」の織田道子さんは、「LGBTに対する差別は許さないのは当たり前のこと。その中で性自認という言葉があいまいで、人によって言っていることがバラバラ。議員も分かっていない」と切り捨てた。

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