Netflix「全裸監督」の総監督に聞く…日本映画界のプロデューサー“不在”問題

「全裸監督」
「全裸監督」

金がないから発想が小さくなっていく…監督も俳優もどんどん海外へ

 よその国とはアメリカ、Netflixのことだ。「全裸監督」はアメリカ側からのオファーを受けての企画だ。「『アジア発のヒット作がないので、日本でそろそろ面白いものを作ったら』と来た話ですね。だから、チャレンジした。とりあえず、『先に進みなさい』とシーズン2が決まりましたが、これがダメなら、ほかのアジアの国に行くだけの話です。Netflixの中では低予算の作品ですが、30年前、自分が映画界に入った頃のような素敵な現場でした」と武監督は振り返る。

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 そんな言葉に、「西部警察」の生みの親、小林正彦・石原プロモーション専務の言葉を思い出した。毎回、大掛かりな爆破シーンを作る理由について、小林専務は「作り手は汗をかかないとダメなんだ。本気で作らないと、観客を感動させることはできない」と言った。「全裸監督」は全8話で、数億円というケタ違いの製作費がかけられている。「西部警察」とは質感こそ違うが、「全裸監督」には全編にわたって、出演者や作家たちの本気、本物感が漂っている。だから面白いのだ。

湯布院映画祭で会見する安藤サクラ、武正晴監督、佐藤現プロデューサー(左から)
湯布院映画祭で会見する安藤サクラ、武正晴監督、佐藤現プロデューサー(左から)

 武監督はさらにこう続けた。

「NetflixもAmazonもどんどん配信作品を作るでしょうし、監督も、俳優さんもどんどん海外に出ていき、ボーダレスになっていくと思います。今後は、世界に出ていく若手作家の環境を整えていくのがプロデューサーの仕事になるのではないか」

 世界はどんどん狭くなっている。国境はもちろん、ビデオ、配信作品、映画の区別もあまり意味がない。速度が増した世の中で、日本発の良質な作品を送り出すプロデューサーが今、求められているのかもしれない。

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