事故放置でボロボロの極限状態、GT-Rレストアへの執念 「2歳からの夢」追いかける24歳

「2歳からの夢」の実現のため、事故放置車両を買い取った。それも、車種は、日産・スカイラインGT-RのBNR34型……。“ボロボロの1台”のレストア復活に向けて、時間をかけて「細々と」、一歩一歩取り組む24歳男性オーナーの情熱に迫った。

事故放置車両だった日産スカイラインGT-R BNR34型の再建計画が進んでいる【写真:本人提供】
事故放置車両だった日産スカイラインGT-R BNR34型の再建計画が進んでいる【写真:本人提供】

「諦めずに必死で頑張っていきたい」 BNR34を250万円で入手、ガレージで「細々と」進む修理

「2歳からの夢」の実現のため、事故放置車両を買い取った。それも、車種は、日産・スカイラインGT-RのBNR34型……。“ボロボロの1台”のレストア復活に向けて、時間をかけて「細々と」、一歩一歩取り組む24歳男性オーナーの情熱に迫った。

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

「ほんまに2歳からの夢で アホで愚か者の為、BNR34事故放置車両を買いました 相場よりお金かかっても根性でレストアします」。昨年11月、男性オーナーは、ツイッター(BNR34 レストア @InstagramJdm)上でこう宣言した。購入は2年前。あこがれてやまない、大好きなBNR34の再建計画を進めている。

 GT-R好きになったのは、2歳の頃、親戚のおじさんに車を教えてもらったことがきっかけだ。「それまでGTなどのレースを見せてもらったりしたのをよく覚えてます」。赤ちゃんの頃から、根っからのクルマ好きだ。

 幼少期から大事にしているものがあるといい、「実家の隣の方が日産ディーラーで働いていましたが、車を購入した方のみ? のBNR34のカタログを特別にもらったのをよく覚えています。小さい頃だったので傷をつけたりしていましたが、今でも保管しております」。子ども時代から気に入っているのが、クールなかっこいいデザインだ。「BNR34のフロントから見た顔! テールランプが大好きで当時はしゃいでいたことを、はっきり覚えております。それがBNR34にこだわる理由です」と実感を込める。

 スポーツカーが走っているのを見かけては車両の名前を呼んでいたような少年は学生になり、「車のことを忘れるぐらい遊んでいました」というが、「免許を取る前ぐらいにそのGT-R熱が再び戻りました」。情熱を取り戻した。

 マイカーはGT-Rに乗りたかったが、一方で、「高卒には買えなくて……」。手の届くER34スカイラインを選んだ。

 その愛車ER34にもエピソードがある。「親との約束でスポーツで全国で成績を残せばお金を貸してもらえるということで、スポーツを頑張って購入することができたので、ER34にも違った思い入れがあります」と語る。

 就職するにあたり、「貯金をしてBNR34を購入するつもりでスタートした社会人生活ですが、どんどんBNR34の値段が上がり、1000万円を超える個体も出てきました」。折しも、高騰化のタイミングと重なってしまった。それでも、「無理だと思っていましたが、どうしても諦めきれないまま、車を走り込んだり、横のつながりを広げつつ、2年ほどたった頃、このBNR34前期のお話が回ってきて購入させてもらった次第です」。

 損傷激しいが、正真正銘、本物のBNR34を手にすることができた。ちなみに、値段は車両が250万円ほどで、パーツは「学生の頃から、安いバンパー、配線などをちまちま集めています」とのことだ。

 とはいえ、なかなか普通は手を出せない、事故放置車両だ。

「このBNR34はフロントを損傷しており、放置されていた車両と説明を受けています。屋根はありましたが、外で放置されて物が置かれていたのを覚えています。他に細かいところも損傷していました。フレーム自体はフロントサイドメンバー(骨格となる部材)が左右に振っていたり、コアサポート(骨組み)が使い物にならないぐらいなので、状態は極上だと思いました(笑)。サイドメンバー周りを確認しましたが、ストラットタワーより前で少し左右に振っているのみで、しっかり寸法を出してあげれば全然使用可能でした。勢いがあったのでそれ以上の損傷でも購入していたと思います(笑)。本当に欲しかったので、自分がおかしくなっていたのかもしれません(笑)」。

 それに、パーツは「使えるか分からないエンジン、足回りにはER34のパーツも混ざっていました」という。ボロボロの“極限状態”、それだけに修理のやりがいがある。

 購入してからは2年になる。今年3月末には「細々進めてますよ!」とレストアの途中経過をツイッターで報告している。進捗状況はどうなのか。「BNR34は、他の車両(の修理・レストア)を終わらせてから、時間をかけて自分が納得いくように全て1からレストアするつもりでいますので、時間の合間を見つけて車両を解体し、サビなどが進まないようにしたりしています。あとはパーツ集めを進めています」。現状の完成度は「2割ほど」だという。

 夢を達成するまで、これから先はまだ長い。「自分がこの世で一番好きな車がBNR34ですので、絶対に諦めないです。人に任せず、自分が納得いく車を作ります! BNR34作成に携わった方々にお礼を言いたいぐらい大好きです」とアツい思いを明かす。

 自宅ガレージが作業場。「修理はまだサビ止めなど基本的なことしかしていませんが、ガレージに搬入するのが一番難しく、知り合いみんなで押しながらガレージに入れたのがすごく楽しい思い出となっています。なんせ自分のガレージにBNR34が入っているのがうれしくてたまらなかったです」。充実感にあふれる。

 気になるのは今後の作業だ。「パーツがあれば、1年みっちりやれば終わると思いますが、中途半端が嫌いなので、今触ってる他の車両を全て終わらせてから作成したいです」。

 今後に向けて、「今でも気分転換にBNR34を触ったりしています。皆様に『この世で一番BNR34を好いている人』と認識してもらえるよう、諦めずに必死で頑張っていきたいです。いろいろな方にレストアの進行を見てもらい、skyline好きな人全員とつながりたいです」と力を込めた。

次のページへ (2/2) 【写真】現状のGT-Rレストア、リアルな1枚
1 2
あなたの“気になる”を教えてください