「卒業制作でバイクを作りました」 美大生の力作が話題 夢の続きは“大手バイクメーカー”で

「大学の卒業制作でバイクを作りました」。美大の卒業制作でバイクをデザインしたという学生の投稿が、SNS上で話題を呼んでいる。なぜバイクを題材に選んだのか、そして気になる卒業後の進路とは。投稿者の男性に聞いた。

卒業制作で作ったというこだわりの1台
卒業制作で作ったというこだわりの1台

東京五美大のひとつ、東京造形大学のインダストリアルデザイン専攻に在籍

「大学の卒業制作でバイクを作りました」。美大の卒業制作でバイクをデザインしたという学生の投稿が、SNS上で話題を呼んでいる。なぜバイクを題材に選んだのか、そして気になる卒業後の進路とは。投稿者の男性に聞いた。

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 卒業制作でオリジナルデザインのバイクを制作したのは、東京五美大のひとつ、東京造形大学のインダストリアルデザイン専攻に在籍する岳(@22rr7)さん。高専を卒業後、一度は国内大手の航空会社で航空整備士の道に進んだものの、「自分で一からモノづくりがしたい」と1年を待たず退職。そこから一念発起して大学へ進学した。

「物心つく前から機械いじりが好きで、仮面ライダーの変身ベルトやママチャリくらいなら全部バラして組み立て直したりしていました。バイクに興味を持ったのは前職のとき。友達に誘われて免許を取って、そこからのめり込んでいきました」

 これまでの愛車遍歴は、チョイノリSS、CBR250RR(MC22型)、ニンジャ250SL、SRV250、CBR400RR、スーパーカブ110の6台あまり。今回制作したバイクは私物のCBR400RRをベースにしたという。

「2000年代初頭から、それまでは丸か四角だったヘッドライトが異形の形が作れるようになり、デザインの自由度が増してアイデンティティーをメカに追求するようになったんです。その流れで、最近のスポーツバイクはあまり意味のないディテールだったり、造形が装飾的になりすぎて、気が引けちゃうというユーザーの声も多かった。そういった過度な装飾をなくして、30年以上前のレーサーレプリカの未熟だからこそ単純な造形をヒントに、ディテールは洗練されたシンプルかつ新しいバイクを作ってみようと」

 これまでバイクのカスタム経験はゼロ。身近なバイク仲間を中心にリサーチを重ね、意見や知識を集積して作業に臨んだ。学内ではバイク制作をするだけのスペースを確保できず、知り合いの自動車店の一角を借りて制作に明け暮れたという。

「灯火器の問題が残っているので車検が通るかはまだ分かりませんが、ちゃんと取得して長く乗り続けたいと思ってます。個人的な出来栄えとしては70点くらいですが、投稿の反響はものすごく、年配の世代の方からも『すごくカッコいい』『こういうのが欲しいんだよ』と言っていただけたことがうれしかった」

 投稿は3000件を超えるリツイート、1.4万件を超えるいいねがつくなど大きな話題に。「美大ってこんなものまで作れるんだ」「バイクって卒業制作で作れるんですね…!?」といった驚きの声も多く寄せられた。卒業制作も終わり、気になるのは卒業後の進路だが……。

「ありがたいことに、国内大手バイクメーカーの二輪事業部から内定をいただいております。3Dデザイナー、クレイモデラーと言われる仕事で、デザイナーが書いた絵をもとに粘土で立体モデルを作っていく。こういうのが欲しかった、こういうのに乗りたかったと言われるようなバイクを目指して頑張っていきます」

 これからも古くて新しい、愛されるデザインのバイクを作っていくつもりだ。

次のページへ (2/2) 【写真】単純な造形と洗練されたディテール…こだわりバイクの別カット
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