【今週のエール】銀行員となった裕一の前に現れる人々 再び音楽に没頭する布石になるか

NHK連続テレビ小説「エール」第3週「いばらの道」では、主人公・裕一(窪田正孝)が音楽の道を諦め、叔父・茂兵衛(風間杜夫)が経営する川俣銀行に住み込みで働き始める。川俣で出会う人々は、みな個性豊かで強烈。一方で、裕一が音楽と出会った小学校時代の同級生たちとも再会を果たすことになる。

「エール」(C)NHK
「エール」(C)NHK

朝ドラ「エール」、第3週「いばらの道」を振り返る

 NHK連続テレビ小説「エール」第3週「いばらの道」では、主人公・裕一(窪田正孝)が音楽の道を諦め、叔父・茂兵衛(風間杜夫)が経営する川俣銀行に住み込みで働き始める。川俣で出会う人々は、みな個性豊かで強烈。一方で、裕一が音楽と出会った小学校時代の同級生たちとも再会を果たすことになる。

 所属するハーモニカ倶楽部の定期公演で演奏するオリジナル曲を作曲することになり、ますます音楽に熱中していく裕一。しかし、父・三郎(唐沢寿明)が経営する呉服店・喜多一は経営の危機に陥っていた。さらに、三郎はもうけ話を持ち掛けられたものの、金を持ち逃げされたことでより一層窮地に。叔父・茂兵衛に融資を頼み込み、裕一を養子として出すことで合意する。

 音楽を諦め、川俣銀行に住み込みで働くことになった裕一。作曲家になるという夢を失った裕一は、ダンスホールで出会った志津(堀田真由)に恋をする。意を決して告白したが、志津の正体は小学校の同級生・とみだった。こっぴどく振られ、裕一の初恋はあっけなく終わってしまった。同時に、裕一は小学校の同級生・鉄男(中村蒼)にも再会する。

 裕一が音楽の道へ進むことを応援していたが、自らの手でその夢を断ち切ってしまいふがいなさを感じる三郎、幼少期に裕一に作詞を続けるように諭された鉄男、そして実家の没落で踊り子として働くことになった志津。裕一を取り巻く人々についても印象的に描かれた。音楽の道を諦めて銀行で働きながら、踊り子・志津に夢中になっている裕一に「なぜ音楽をやめたんだ」と語りかける鉄男。近所のガキ大将ながら詩を好んでいた鉄男に、小学校時代の裕一は「しがみつけば必ず道が開く。大将は詩人になれる」と励ましの言葉をかけていた。その言葉を胸に新聞配りから地道に努力を重ね記者になった鉄男にとって、裕一が音楽を辞めて銀行で働いていることは少なからずショックに映ったはずだ。鉄男は裕一から受け取ったエールで、夢にしがみついていたのだ。

 裕福な家庭の生まれだった志津は、銀行の跡取りとして街で注目を浴びる裕一に忘れられていたことに腹を立てる。裕一はそんな志津に「あんたは昔からそう。そうやってどこかで私たちのことをバカにしてんのよ」と一喝されてしまう。音楽の道を諦め、初恋も派手に散ってしまった裕一。第3週はどん底に突き落とされてしまったが、作曲家を目指す原点となった小学校時代の友人たちとの再会で、再び音楽の道に戻ることはできるのだろうか。

 第4週からは、音(二階堂ふみ)が歌手になることを夢見てレッスンを重ねる様子も描かれる。いよいよ裕一と音が出会うことになるが、個人的に注目したいのは音の声楽の先生・御手洗清太郎役で登場する古川雄大だ。ミュージカル「エリザベート」「マリー・アントワネット」などに出演し、帝国劇場には欠かせないミュージカルスターの古川。第2週ではオペラ歌手・双浦環役の柴咲コウが圧倒的な歌唱力で話題をさらったように、古川の歌唱シーンがあればその美声に癒されることは間違いないだろう。また、裕一の小学校の同級生で、後に歌手として人気を博すことになる久志役は山崎育三郎が演じる。ミュージカルスターの夢の競演で、うっとりする朝を迎えられそうだ。

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