中邑真輔がグレート・ムタ戦にこだわったワケ WWEに直談判「まずあり得ないこと」

2023年、元日からプロレスファンが熱くなる。プロレスリング・ノアは2023年1月1日、「ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2023」(ABEMAで全試合無料生中継)を日本武道館で開催する。魔界の住人グレート・ムタと、WWEのスーパースター中邑真輔の初対戦が実現。ムタは“代理人”武藤敬司が2月21日に引退試合が決まっており、1月22日に魔界への帰還が決まっているが、その前にシングルマッチが実現した。夢の対決へ向けて、中邑は何を思うのか。フロリダ・オーランドにいる本人に聞いた。

WWEで活躍する中邑真輔(左)【写真:(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.】
WWEで活躍する中邑真輔(左)【写真:(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.】

中邑真輔インタビュー、ムタ戦は「信じられないというのが率直な感想」

 2023年、元日からプロレスファンが熱くなる。プロレスリング・ノアは2023年1月1日、「ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2023」(ABEMAで全試合無料生中継)を日本武道館で開催する。魔界の住人グレート・ムタと、WWEのスーパースター中邑真輔の初対戦が実現。ムタは“代理人”武藤敬司が2月21日に引退試合が決まっており、1月22日に魔界への帰還が決まっているが、その前にシングルマッチが実現した。夢の対決へ向けて、中邑は何を思うのか。フロリダ・オーランドにいる本人に聞いた。(取材・文=角野敬介)

 ◇ ◇ ◇
 
――ムタ戦が決まったときの率直な気持ちを教えてください。

「まさかという気持ちです。信じられないというのが率直な感想。まさか実現するとはというところです」

――ファンも信じられないと。

「それまでのWWEという会社の体制ではまずあり得ないことだった。(ノアが)ダメもとで話しを持ってきて、その話の相談はしていたんですが、答えはNOでした。夏にビンス(・マクマホン=WWEの会長兼CEO)が退陣して、社内の人間から『今だったら行けるんじゃないか』というアドバイスもいただいた。それでもやっぱり難しいだろうなと思っていたんですが、直接トリプルH(WWEの副社長)に話すこともあって。実際に決定という流れになったときは震えましたね」

――WWEに直談判してまで、対戦にこだわった理由を教えてください。

「武藤さんが引退発表してから試合が決定するまでの間にWWEの中での大きな変化があった。すべての象徴であったビンスが引退するということ、それこそが誰も信じられないことだったんです。アメリカはトップが変われば全て変わる。その時に、これから色々なものが変化していくだろうという空気感だったりそういう思いがあった。そんな中で自分に起こった変化の一つがこれだった。“なし”が“あり”ということになったことが、後押しになりました」

――日本のみならず海外でも大きな注目を集める試合となります。対戦が決まった際の周囲の反応はいかがでしたか。

「今風に言えばバズりましたね。『信じられない』という声と、『良かったね。やったじゃん』という声と、両方ありました。自分のことのように喜んでくれる人もいた。WWEのスーパースターたちはWWEの世界観の仲で試合をしていくんですけど、そこから外にでていくことを想像だにしないし、できない。そういう意味で自分自身の中でも思いましたね。『オレ、持ってんな』って(笑)。時代の狭間の、奇跡的なものを拾えたというか。もちろんWWEのほかの試合とは全く違う。違う世界線と感じていますから。ストーリーラインが別世界。ましてやグレート・ムタは魔界の住人。魔界で試合をするような感覚です」

取材に応じる中邑真輔【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じる中邑真輔【写真:ENCOUNT編集部】

――グレート・ムタの印象を教えてください。

「僕はグレート・ムタと関わったことがないんです。自分がプロレスラーになる前から見ていて、まさにアイドルでした。プロレスラーになってからはそういう思いは敢えて消しましたが、独自の世界観だったり、武藤敬司とは別人格であり、違う世界観とリズムを持った選手だと思っています」

――戦ってみたかった相手ですか。

「それはもちろん。最初で最後でしょうし。このタイミングですから。自分が動くだけの価値があったんじゃないかと思っています」

――今年6月に武藤選手が引退を表明。同時にムタ選手もラストと発表されました。これらのニュースを聞いたときにどう思いましたか。

「一つの時代が移り変わっていくんだなという感じではありました。でもぶっちゃけ結構しぶといなとは思っていましたよ(笑)。僕とIWGP2回くらい戦ったときに、まだやるのかよって思ってたんですけど、そのあと、ノアでベルト巻いたりしてしぶてーなと思ってましたよ。武藤選手の回りの世代はほぼほぼ引退されているわけですから」

――日本で試合をするのは2019年6月のWWE日本公演以来。日本のファンにどんなファイトを見せたいでしょうか。

「できることなら思い切り暴れたい。相手がクセのあるグレート・ムタですから、最初で最後のグレート・ムタ戦になりますから。まぁ楽しんで味わい尽くしたいとは思っています」

――中邑選手といえば、入場から会場を虜にします。楽しみにしているファンも多いですが、入場の美学、こだわりがあれば教えてください。

「入場は自分を上げるためのものです。没頭するためのパフォーマンス。戦っている相手がいようがいまいが自分の世界の中に入り込むためにやっている。(ファンが盛り上がっているのを見ると)そりゃ上がりますよ。自分の発するエネルギーをお客さんのエネルギーと交換するというか。そういうコミュニケーションでもあるんで、声援がでかければでかいほど、自分の感情はぶちあがります」

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