【RISE】原口健飛、大将として挑む世界戦 KOにこだわらない理由「世界の壁を1番痛感してる」

年間最大級の立ち技格闘技イベント「Cygames presents RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022」(東京・両国国技館=ABEMAで全試合無料生中継)が25日に行われる。「聖夜の最狂決定戦」と題したこの大会はRISEと“世界の銀河系軍団”GLORYとの対抗戦。元GLORY世界フェザー級王者のセルゲイ・アダムチャック(ウクライナ)とスーパーライト級(65キロ)で対戦する第6代RISEライト級王者の原口健飛が、“対世界”についてエースとしての思いを語った。

ペット戦の雰囲気についても明かした原口健飛
ペット戦の雰囲気についても明かした原口健飛

「勝って文句を言われるのも幸せ」

 年間最大級の立ち技格闘技イベント「Cygames presents RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022」(東京・両国国技館=ABEMAで全試合無料生中継)が25日に行われる。「聖夜の最狂決定戦」と題したこの大会はRISEと“世界の銀河系軍団”GLORYとの対抗戦。元GLORY世界フェザー級王者のセルゲイ・アダムチャック(ウクライナ)とスーパーライト級(65キロ)で対戦する第6代RISEライト級王者の原口健飛が、“対世界”についてエースとしての思いを語った。(取材・文=島田将斗)

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 今回は倒したいわけじゃない――。“対世界”対抗戦のRISEの大将が勝利の形について告白した。

 試合約1か月前に対戦相手が変更に。照準はGLORY世界フェザー級(65キロ)1位のザカリア・ゾウガリー(オランダ)からアダムチャックに変わった。むしろ「本来なら影響でるはずなんですけれど、精神的には燃えた。僕的にはおいしいですね」と口にした。

 原口は今回の対抗戦よりも前に世界へ挑戦している。昨年11月と今年8月に現GLORY世界フェザー級王者のペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ)と2度対戦し、ともに判定で破れている。

 今回の相手はアダムチャック。ヨーロッパ戦士だが「ペットと変わらない」と話す。

「ペットほど体は強くないと思うけれど、強い。何を打っても向かってくる、痛いやろうけれど、顔に出さないとか。精神面でも出ていますよね。負けている試合でも基本的に前に出ている。その中で手数とかで負けてるけど、基本的にロープに押し込んでる。実際見るともっと強いんだろうなって思いますね」

 圧をかけてくる相手への印象は「昔は嫌だったんです」と明かしながらも現在は関係なくなったと豪語した。

「経験を積んできて逆に合わせやすいというか。待ってくるファイターって面倒なんですよ。昔は僕、待つファイターやって、でも何もせんでもきてくれるので、結果的におもしろい試合にもなると思う」

「アダムチャックは結構振ってくる」と分析。カウンターを合わせられればと話しつつも“KOパンチ”への怖さも口にした。

「やられたら倒されるっていうのは実際怖いっすね。戦っている感じはする。でも山崎秀晃戦で怖さは克服されました。ぶっ倒しにくるファイターにああやってきれいに合わせることができて、ふっきれたというか、勇気にもなったし自信にもなりました」

 今年のキックを語るうえでは外すことのできない「THE MATCH 2022」。RISEを代表してK-1の代表と戦ったことは24歳の原口にとって大きな経験となったようだ。

 一足早く世界を体感している原口。ペットパノムルンに対しての2度の敗戦への責任を感じている部分もあった。

「僕のせいでなめられた部分もある。だからこそGLORYのファイターはわざわざ飛行機に乗って面倒くさい日本まで来るんで。そこに関してはタイ人だろうがなんだろうが、対世界なのでとりあえずしばかなアカンなって思ってますね。アダムチャックに勝ったからって世界最強のわけではない。でも世界最強になるためには倒さないといけない人なのでモチベーションは上がりますね」

「今回に関しては倒したいわけではない」と強調する。その真意を対抗戦に挑む日本人選手たちへこう伝える。

「外国人と戦ったことない人はいてないと思うんですけれど、外国人ファイターだから体も強い。日本人らしく賢く、日本人にしかない技術をみんな持っているので、存分に生かして戦いたいですね。正直な話、強いやつに体ではやっぱり勝てない。ペットの時も1回目のときはまんまとやられたし、2回目は頭を使って戦ったんですよね。むきになる気持ちも分かるけれど、対抗戦なので勝ちが全て。勝って文句を言われるのも幸せなので、落ち着いて戦ってほしいと思います」

“対世界”の雰囲気についても「ファイターによっては違う」としながらも言及する。

「ペットの1回目のときは感じましたね。初めて人間であんなオーラある人見たんですよ。正直やる前から負けたなって思ってしまったんですよ。勝てへんからとりあえずKOだけはされんとこっていう。覇王色の覇気みたいな。ほんまに強い人にしか出ない雰囲気。心の底から余裕な感じがあるんですよね、それでいてめちゃくちゃ謙虚やし」

 そんな相手との2度の対戦。2回目の対戦には原口勝利だったというファンの声も少なくはない。「それ(ペットパノムルン)以上の選手が自分の現役中にでてくるとは思わないんですよ僕。だから気持ちの余裕ができましたね。あれ以上こわいもんはないので楽しみっすね」と今回の対戦について笑う。

2022年は「やっとスタート地点」

「THE MATCH 2022」「超RIZIN」など、22年は格闘技界が大きく盛り上がった。自身も大きな大会に出場し続けた原口が1年を振り返る。

「『THE MATCH』っていう大舞台に立たせもらえて、格闘家として認知されてきた。これから格闘家としてやっとスタート地点に立ったなって感じですね。ようやく日の目を浴びて、ミーハーな人たちくらいまでには伝わるようになった。格闘技をやってて良かったなって思ったし、これからもっと頑張らなあかんなって思いましたね」

 24歳にして王者にもなっている選手が語る「やっとスタート地点」は重たい。理想の格闘家像はどんなものなのか。原口はこう語る。

「知名度もものすごく大事だとは思う。やっぱり昔のK-1MAX時代とかほんまにみんな強かったし、漢が憧れる漢みたいな。なんも言わんでもオーラがある。そういうファイターになりたいですね。有名になってお金を稼ぐのも大事なんですけれど、格闘家で世界一強くなりたくて、お金とか地位は後のことで、そのなかで強さだけで有名になれたらいいですね」

 知名度といえば今年の格闘界には“喧嘩自慢”が集まる格闘エンターテインメント「Breaking Down」が流行した。

「良いと思う。格闘家として余裕もあるからそういうことに対して文句言う人よりは楽しく見れてるし、けんか自慢をやってるのが悪いとは思っていない。それに出て格闘家と勘違いしているのがあかんなって思います。企画としてはめっちゃおもろいから見てまうんですよ俺も(笑)。出てるからといって調子に乗ってる人が嫌いなんですよ」

 11月半ばから開催していたFIFA ワールドカップ カタール 2022(W杯)でも国同士の戦いは大いに盛り上がりを見せた。原口も日本代表、大将として世界と戦う。

「唯一、世界を打ち破れるのは俺って言われてたんですけれど、その俺でも無理やったし、世界の壁というのは1番痛感している。その経験を生かしたい。今でも世界に通用するのは自分と思っているし、そこは責任を持って、世界を経験した“先輩”なので大将としてしっかり勝ちたいと思います」

 来年はどんな1年にしたいのか目標も口にした。

「目指すはペットパノムルン・キャットムーカオなので。たどり着けるようにみんなに認められるような強さを手に入れたい。最近、形になるものが獲れていない。説得力をつけるためにも肩書きだけでも『世界』『チャンピオン』というものが欲しい。ベルトが欲しいですね」

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