希少2代目クラウンは「僕の棺桶」 57歳オーナーが語る愛車の“終活”

トヨタと言えば、セダン車と言えば、この車を思い浮かべる人が多いだろう。「クラウン」。日本の高級車の代名詞的存在だ。貴重で希少な“2代目クラウン”のオーナーが、大塚宏さん(57)だ。これまで乗ってきた20台以上の愛車は、すべてトヨタ車。そんな筋金入りの大塚さんの愛車ヒストリーに迫った。

63年式「トヨペットクラウン デラックス」がほとんど当時のまま残っている【写真:ENCOUNT編集部】
63年式「トヨペットクラウン デラックス」がほとんど当時のまま残っている【写真:ENCOUNT編集部】

パブリカ・カローラ・コロナ家族みんな“トヨタ一家” 現在カローラレビン2台も所有

 トヨタと言えば、セダン車と言えば、この車を思い浮かべる人が多いだろう。「クラウン」。日本の高級車の代名詞的存在だ。貴重で希少な“2代目クラウン”のオーナーが、大塚宏さん(57)だ。これまで乗ってきた20台以上の愛車は、すべてトヨタ車。そんな筋金入りの大塚さんの愛車ヒストリーに迫った。(取材・文=吉原知也)

 1963年式「トヨペットクラウン デラックス」。初期型(RS41)だ。気品高いデザインを含めて自慢ポイントはいくつもあるが、「涙目テールランプ」「トヨグライド(AT技術)」がお気に入りだ。

「このクラウンのRS41型は、クレージーキャッツやザ・ドリフターズの映画を見ていると、必ずと言っていいほど登場します。当時、この車種はタクシーでもおなじみだったんですよ」と笑顔で語る。

 内装、外装、エンジンなど、ほとんど当時のオリジナルのまま。手をかけて、修復するところは整備を施してきた。

 このとびきりの1台の歴史をたどると、まず法人契約で企業幹部の送迎車として走っていた。このクラウンの運転手が払い下げ品として自身が入手した。その後、整備担当者が譲り受けた。この2人目のオーナーは大事に保管していたといい、14年前に大塚さんの手に渡った。

 大塚さんによると、63年式・涙目テールランプ・トヨグライド仕様で、しっかりした形で残っているトヨペットクラウン デラックスは、ほとんどないという。「ドラマ『私立探偵 濱マイク』でワインレッドの個体を見たことはありますが、ウチの愛車と2台だけなのではないでしょうか」と話す。

 大塚さんがこれほどまでに2代目クラウンを愛する理由。そこには「原点」がある。物心ついた時に、祖父が乗っていたのだ。

「僕が6歳ぐらいになるまで、祖父が愛車にしていて。助手席に乗っていて、幼心にシートがザワザワで痛いな、なんて記憶が残っているんです。祖父は印刷屋を経営していて、社用車がパブリカのバンで、父はカローラのバンに乗っていて、父の兄、私にとってのおじがコロナに乗っていました。僕自身、トヨタしか知らないんですよ。実は、おじの意見もあって祖父はクラウンからセリカ(ET1400)に乗り換えたんです。でも、なんでデラックスから安いグレードのセリカに買い替えてしまったんでしょうね(笑)」と振り返る。

 家族の思い出がいつでもよみがえる1台。だからこそ、大事に大事に乗っている。

 昔のトヨタ車を巡る、時代を感じさせるエピソードがもう1つあるそうだ。

「70年代の話ですが、あるテーマパークで、2代目クラウンやセドリックを並べて、クラウンがジャンプ台から火の輪をくぐってダイブする、そういったスタント・カーショーが行われていて。家族旅行で目の当たりにしたことを今でも覚えています。そんな時代もあったんですよね」

初期のセリカ、トヨタ1600GTに乗りたいと「今でも思っていますよ!」

 大塚さん自身は、18歳で免許を取り、今では車関係の仕事に就いている。ハンドルを握ってきたのは、もっぱらトヨタ車だ。その“華麗なる”愛車遍歴には驚きだ。

「クラウンは一時期、130系ワゴンにちょっとだけ乗っていたことはありますが、やっぱりこの2代目、これだけです。それに、パブリカは5台、カローラレビンは7台、スプリンタートレノ1台、27~92型まで5世代を走破してきました。それに、コロナ ツインカムターボでしょう。マークIIは2台、あとは、70系カローラワゴン。他にもあって、全部で23、24台ぐらいに乗ってきました」。

 人生の相棒である2代目クラウン。カーイベントに出展する以外に、メンテナンスのため週1回は必ず走らせている。手をかけて手をかけて、整備に余念がない。

「僕の棺桶ですよ」

 今現在、カローラレビン2台を含めた3台のオーナー。ただ、60歳を前にして老後の現実について考えることもあるという。

「定年になったその後に、金銭的な面で、維持・管理をしていけるのか。レビンは子どもたちに譲る考えは持っています。ただ、クラウンをどうするか。このクラウンは、僕だけの思い出が詰まったクルマなんです。それを子どもたちに託すのはどうなのかとも思っているんです。僕にとっての終活の最初でありながら最大の仕事が、このクラウンの引き継ぎになるでしょうね」。複雑な胸中を口にした。

 もし将来的に、他人に渡さざるを得なくなったとき。そこにはある条件を付けるつもりだ。「クラウンは改造されがちなクルマなので、カスタムで手を加えたり、いじってほしくない。この当時のままで残してほしい。それが条件です」と強調する。

 ここまでたくさんのトヨタ車に乗ってきて、それでも乗りたい車種はあるのか。

「いやあ、実はありますよ。初期のセリカとか、トヨタ1600GTに乗りたいと、今でも思っていますよ!」と目を輝かせる。

 自分より2歳年上の極上の1台。これからも一緒に歩み続ける。大塚さんは「定年が近いのですが、老後は、このクルマを維持するためだけに働く。そう思っているんですよ」。自慢の愛車を見つめながら語った。

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