還暦・麻木久仁子、がん闘病からの薬膳生活 娘が独立でおひとりさま生活「結婚はもうしない」

タレントの麻木久仁子が12日、60歳の誕生日を迎えた。還暦を記念して出版したのは「おひとりさま薬膳 還暦からのごきげん食卓スタイル」(光文社、発売中)。28歳の長女が家を出た今は、84歳の母と軒を同じながらも生活は別というシェアハウスのような暮らしを続けている。

還暦を迎えた麻木久仁子が現在のライフスタイルについて告白【写真:荒川祐史】
還暦を迎えた麻木久仁子が現在のライフスタイルについて告白【写真:荒川祐史】

娘の独立で母親と“シェアハウス”同居

 タレントの麻木久仁子が12日、60歳の誕生日を迎えた。還暦を記念して出版したのは「おひとりさま薬膳 還暦からのごきげん食卓スタイル」(光文社、発売中)。28歳の長女が家を出た今は、84歳の母と軒を同じながらも生活は別というシェアハウスのような暮らしを続けている。(取材・文=平辻哲也)

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 50歳の乳がん発覚をきっかけに、健康意識に目覚め、薬膳師の資格を取得し、55歳のときにはレシピ本「生命力を足すレシピ」を執筆した麻木。結婚、離婚を経験し、今年は長女が家を出て独立し、「おひとりさま」となった。

「寂しさもありますけども、諦めました。普通は大学生になって、出ていく子どももいますから、それを考えたら長く一緒にいてくれたんじゃないかな。母が1階、私が2階に住んでいるんですが、生活は別々。シェアハウス状態ですね。母は週に3日ダンスにも出かけています。時々おかずを交換したり、私の分も食事を作っておいてくれたり、外食や出前を取る時は誘ってくれたり、ちょうどいい距離感なんです」と明かす。

 もともと料理好き。長女の学生時代はずっと弁当を作り続けた。「忙しい最中だったから、時短がキーワードだったんです。もう娘に食事を作ってやらなくてもいいんだと思ったら、一瞬、お料理に対する情熱が下がっちゃった。しばらく適当に残り物を食べたり、お総菜を買ってきたりもしていたんですが、気持ちを入れ替えたんですね」。

 最新刊は、薬膳を使った料理とライフスタイルを提案している。

「ひとりだったら、一品をゆっくり時間かけて煮てもいい。作り置かなくてもいい、今日食べたいものを今日作って食べきってしまえばいいんじゃないか、と。そういう風にシフトしていったら、ちょっと楽しくなってしまって」と笑い。

 調理器具もおひとりさま用に一新した。

「料理では大は小を兼ねないんです。大きい鍋だと作りすぎてしまう。今はおひとりさまブーム、ソロキャンプ人気もあって、16センチくらいのかわいい鍋やミルクパンがいくらでも出ているんで、買いそろえました。一人で食べきるのだから、味付けも今まで以上に丁寧にスプーンで軽量して、一発でおいしい味にしようとやっています」。

長女も独立し、これからは自分のために時間を作っていきたいと語る【写真:荒川祐史】
長女も独立し、これからは自分のために時間を作っていきたいと語る【写真:荒川祐史】

娘から教わった「BTS」がコミュニケーションツールに

 食事は1日2回。昼と夜が多い。時間がある時は薬膳の牛すじ肉を昼からじっくり煮込む。ブロッコリーは食べる分だけゆでて、残りはペーストに。味付けはシンプルにして、食べ飽きたら、スパイスを足して味変する。

「ビールも1本だけだから、ちょっとお高いクラフトビールを買うようにしていますし、お米も消費量も格段に減ったので、ワンランク上に変えて、取り寄せ。一人すき焼きでも、ワンランク上のお肉を選んでみたり。今は、仕事と子育て大変な怒涛(どとう)の日々を過ごした後にやってきたご褒美の時間。体を疲れやすくはなっているので、ゆっくり時間をかけて味わう。たった1杯のみそ汁でもめちゃめちゃ気分が上がりますよ」。

 今でこそ前向きに過ごしているが、2020年春からのコロナ禍ではふさぎ込む時間も長かったのだという。

「私は『いつも元気ですよね』って言われるんですけども、そうでもなくて、落ち込みやすいんです。コロナのときには仕事が全部なくなって、気持ちが落ちてしまった。もともとは家にいることが大好きだったんですが、おうち時間が楽しめなくなってしまったんです。そのときにはまだ娘が家にいて、『元気が出るものを教えてあげる』とBTSを教えてもらったんです。そうしたら、すっかりハマっちゃって……。こんなことはベイ・シティ・ローラーズ以来45年ぶり2度目です。娘はメッセージを送っても、なかなか返事がこないんですが、JINの兵役のニュース見た? とか、今度はこういうミュージックビデオが出たんだよ、とかBTSの話を送ると、すぐにリアクションくれるんですよね」と笑い。BTSがコミュニケーションツールにもなっている。

 還暦を迎えた心境はいかに?

「50代では乳がん治療、ラスト3年はコロナ禍もあって、大変ではありました。自分で思う以上に心身が文字通り対応できなくなる。若い頃はちょっと無理しても、なんとなく乗り切れたんですけど、体力がなくなっている。ヒールの高い靴は処分しましたし、階段も2段抜きはしないようにしました(笑)。こまめなメンテナンスは心がけていますし、自分で自分を励まして、ご機嫌を取っていかないと、不機嫌で元気のないおばあさんになってしまうぞと言い聞かせています」。

 現在は独身だが、再婚は? と聞くと、「みんな、それを聞くんですね(笑)。ないような気がしますね。もうこの歳になってくると、あんまりジェンダーは関係ない。若い頃は男性の友達と二人きりだと、気遣いがあったけれども、今はそういうのがないんです。良くも悪くも人生100年時代ですが、うちの母を見ていると、割と1日1日ものすごく楽しそうにしています。いろんなものを手放して、全ての時間が自分の自由になると、もしかしたらその分長くなるのかな。今までは仕事に、子どもに時間を使ってきましたが、これから先は自分のために時間を作っていきたいと思っています」と麻木。60年かけて蓄積したノウハウは、シニアライフの手本になりそうだ。

□麻木久仁子(あさぎ・くにこ)1962年11月12日、東京都出身。学習院大学法学部中退後に芸能活動を開始。映画、ドラマ、バラエティーで幅広く活躍。知識が豊富で、芸能界のクイズ女王の異名を持つ。趣味は読書、好きなジャンルは歴史物。

次のページへ (2/2) 【写真】おいしそうな和食が並ぶ麻木久仁子の食卓
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