日本映画史上初、空白の1か月…1534スクリーン“映画の灯”が消えた日に思うこと

別府ブルーバード劇場の館長、岡村照さん(別府ブルーバード劇場フェイスブックより)
別府ブルーバード劇場の館長、岡村照さん(別府ブルーバード劇場フェイスブックより)

別府ブルーバード劇場の館長、岡村照さん「映画館は、映画のゆりかご」

 そんな中、ロビーでは一人の女性が電話で何やら話していた。聞くつもりはなかったが、「実は私、今、地元の映画館にいるんですよ。緊急事態宣言が出たら、映画館は閉まってしまうから」という言葉の断片が聞こえてきた。7日は、そんな思いを抱いて、映画館に出かけたという人は少なくなかったようだ。大友克洋氏の傑作SFアニメ「AKIRA デジタルリマスター版」(4月3日公開)や新宿・ケイズシネマで上映中の柳英里紗主演の「すずしい木陰」(守屋文雄監督)などは盛況だったと聞いた。

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 新型コロナウイルスの感染者は8日も、東京都(144人)、神奈川県(67人)、埼玉県(34人)と過去最高を記録し、国内では初めて1日当たり500人を超えた。7都府県においては、外出自粛はやむなしだろう。ただ、確実な補償のない現状では、資金力のないミニシアターは廃館に追い込まれてしまう。今年の日本アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、主演女優賞を受賞した「新聞記者」(藤井道人監督)も全国のミニシアターでのヒットが興収を押し上げた。新型コロナウイルス感染も非常事態だが、ミニシアターの現状も非常事態といえる。

 先日の記事で、紹介した大分・別府ブルーバード劇場の館長、岡村照さん(88)は公式フェイスブックでこんなメッセージを書いている。

「緊急事態宣言にて休館を余儀なくされている関東圏、関西圏、九州を始め、全国には素晴らしいミニシアター様が多くございます。別府にも昔は30以上もの映画館があり、今ではうちの映画館のみとなりました。映画館がなくなるのは大変寂しいものです。わたくしがいつも大切にしているのは、ある監督からいただいた『映画館は、映画のゆりかご』という言葉です。皆様からの金銭的な支援の申し出は大変ありがたいのですが、今この時点においては、前述の通り、経営が危ぶまれておられる他の劇場様を優先してご支援いただきますようお願い申し上げます」

 現在、俳優や監督など映画人たちはネット上で #SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクトと題して、政府や国会議員に声を届ける署名活動を展開している。あなたの大好きな映画を守るためにも、新型コロナウイルス終息後に、また映画館のスクリーンで映画に出会えるためにも、まずは一度アクセスしてみてください。

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