「いだてん」トータス松本がぶちかます「前畑、がんばれ!」はどのように生まれたのか

ウルフルズのトータス松本(52)が、NHKの大河ドラマ「いだてん」で、NHKのアナウンサー・河西三省役を演じている。1932年のロス五輪では、競技風景をスタンドで実況のように再現する“実感放送”を行い、1936年のベルリン五輪では、水泳の実況中継で「前畑、がんばれ!」を連呼し、感動を伝えたことで有名だ。トータス松本が絶叫に込めた思いを聞いた。

「いだてん」【写真提供:NHK】
「いだてん」【写真提供:NHK】

トータス松本・インタビュー NHKのアナウンサー・河西三省役

 ウルフルズのトータス松本(52)が、NHKの大河ドラマ「いだてん」で、NHKのアナウンサー・河西三省役を演じている。1932年のロス五輪では、競技風景をスタンドで実況のように再現する“実感放送”を行い、1936年のベルリン五輪では、水泳の実況中継で「前畑、がんばれ!」を連呼し、感動を伝えたことで有名だ。トータス松本が絶叫に込めた思いを聞いた。

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――実況をするアナウンサー役ですが、感想を教えてください。

「今までお芝居させていただいた中では、標準語を使ったことがなく、今回が初めての標準語でした。しかも、アナウンサーという標準語で、最も高度な役。言葉を話すというよりはセリフを話す感覚でやれば、いいのかなと思っていたら大きな間違いで、ものすごく難しかったです」

――難しかったところはどこでしょうか。

「絶叫するところでは、僕なりのお芝居、エモーショナルな感じで、伝わるかなと思っていたんですが、一番難しかったのは『ラジオをお聞きのみなさん、こんにちは』『スイッチを切らないでください』というさりげないアナウンサーの言い回しです。アナウンサー的な『こんにちは』がこんなに言えないものなのか、と思いましたね」

「いだてん」【写真提供:NHK】
「いだてん」【写真提供:NHK】

――「前畑、がんばれ!」の時はどのようなテンションだったのでしょうか。

「愛知県の屋外プールで撮影したんですが、4泊くらいしました。最終日に『前畑、がんばれ!』のシーンがあったのですが、それまでは気が気ではない。もう、とにかく憂鬱で、楽しみ半分で嫌さ半分。大役だなというプレッシャーがすごかったです」

――どのように実況の練習をしたのでしょうか。

「SP盤のレコードが動画サイトに上がっているので、それを何回も聞きました。でも、やっぱり、途中で聞くのを止めたんです。同じようにすることはできない。自分なりの『前畑、がんばれ!』を、ぶちかますしかない。それだけでしたね。声も全然違うし、トーンも違うし、頑張れの回数も全然違うし、細かくいえば、何から何まで違う。実際に目の前で前畑役の上白石萌歌さんが泳がれていて、デッドヒートを繰り広げている中で、それを見ながら実況さながらにやりました。その時の自分のテンションを信じて、全身全霊で叫び倒した。もう絶叫にちかい感じで、それが一番求められているのかなと思ったんです」

――出演のオファーがあった時どう思いましたか。

「『いだてん』は発表になった時から、すごい楽しみで、絶対見ようと思っていました。キャストを見たら、もしかしたら、話がくるんちゃうかと勝手に思っていた。何の根拠もないですが、同じ時代の上方漫才師とか、上方落語家の役柄ができたらうれしいなと思っていた。だから、オファーを聞いた時は、やったー、ホンマにきたと思ったけど、どんな役かと聞いたら、アナウンサーでした。やれるかいという気持ちと、やれそうな気がするという気持ちの両方でした。そのせめぎあいです」

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