女児に男が「この辺にトイレありますか」→不審者事案に 警察の発信が物議、署の意図とは

「外出中の女子児童が、見知らぬ男に『トイレこの辺にありますか。』等と声をかけられる事案が発生しました」。神奈川県警磯子警察署が発信した不審者情報がネット上で拡散、議論を呼んでいる。子どもの身の安全を案じる声が上がる一方、「そんなに怪しむこと?」「トイレに行きたかっただけでは?」という声も。仮に切羽詰まった状態であっても、子どもへ声をかける行為は控えるべきものなのだろうか。磯子署に経緯を聞いた。

神奈川県警磯子警察署の公式サイト
神奈川県警磯子警察署の公式サイト

女子児童への「トイレこの辺にありますか」という声かけを事案として発信

「外出中の女子児童が、見知らぬ男に『トイレこの辺にありますか。』等と声をかけられる事案が発生しました」。神奈川県警磯子警察署が発信した不審者情報がネット上で拡散、議論を呼んでいる。子どもの身の安全を案じる声が上がる一方、「そんなに怪しむこと?」「トイレに行きたかっただけでは?」という声も。仮に切羽詰まった状態であっても、子どもへ声をかける行為は控えるべきものなのだろうか。磯子署に経緯を聞いた。

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 今回ネット上で拡散されたのは、神奈川県警が不審者情報を配信するサービス「ピーガルくん子ども安全メール」。県内54警察署より、任意の警察署を登録することができ、子どもや女性に対する声かけ事案、不審者情報、ちかん、公然わいせつ、脅迫・暴行等や凶悪事件の発生をメールで知らせるサービスだ。

 冒頭の件では、「2022年10月4日17時25分」「横浜市磯子区汐見台2丁目付近」で発生した声かけ事案について配信。「犯人像」として「年齢20歳位、身長170センチ位、体格中肉、マスク灰色パーカーの男」などの特徴が記されており、「不審者を見かけたら、速やかに通報をお願いします」と磯子署の電話番号が併記されている。

 この内容について、ネット上で「純粋にトイレに行きたかっただけなのでは…?」という投稿が拡散。「困っている人が声をかけたら事案扱い」「世知辛い世の中」といった声がある一方、「まともな成人男性は女児には道を聞かない」「わざわざ子どもに聞かなくてもスマホで調べればいくらでも出てくる」「そのままトイレに連れ込んで性犯罪に及ぶケースはいくらでもある」など、子どもへの声かけ行為そのものを問題視する声も多く上がっている。

 今のご時世、子どもへの声かけ行為はそれ自体非難されるべきものなのだろうか。磯子署生活安全課防犯係の担当者は、配信内容の詳細について「配信内容は被害者の保護者が注意喚起のためにと望んだため公開しているものです。本来は捜査中の案件であり、被害者のプライバシー保護のためにも、配信されている内容以上のことはお答えできません」と回答。

 一般に子どもに声をかける行為の是非については「必ずしもいけないというわけではないが、今のご時世、こういう声かけであっても不審者と思われることもあると、そういう意味での注意喚起でもある。世知辛い世の中ではありますが、配信には不審者に間違われかねない行為を周知するという目的もあります」としている。

 子どもを狙った犯罪が尽きない昨今。子どもを守るためはもちろん、あらぬことで犯罪者の疑いをかけられないためにも、価値観のアップデートが必要なようだ。

次のページへ (2/2) 【写真】不審者情報を配信した「ピーガルくん子ども安全メール」の画面
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