「1日開けても、1人もお客が入らない日も」今、全国のミニシアターで起こっていること
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、全国の映画館、ライブハウス、劇場の臨時休業が相次いでいる。中でも休業、廃業の危機に陥っているのが全国にあるミニシアターだ。このままでは、地方の映画文化が失われてしまうと、関係者は強い危機感を持つ一方、新たな取り組みでなんとか乗り越えようとしている。今、ミニシアターで何が起こっているのか。
新型コロナで経営ひっ迫…このままでは地方の映画文化が失われる
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、全国の映画館、ライブハウス、劇場の臨時休業が相次いでいる。中でも休業、廃業の危機に陥っているのが全国にあるミニシアターだ。このままでは、地方の映画文化が失われてしまうと、関係者は強い危機感を持つ一方、新たな取り組みでなんとか乗り越えようとしている。今、ミニシアターで何が起こっているのか。
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「新型コロナウイルスの影響で、1日開けていても、1人もお客さんが入らない日もありました。それでも、映画館は開けない、とね。今、デイサービスなども閉まっているでしょ。シニアの行き場がないんで」
こう話したのは、3月に日本映画ペンクラブ功労賞を受賞した大分・別府市の唯一の一般映画館「別府ブルーバード劇場」の岡村照館長(88)だ。
別府ブルーバード劇場は戦後まもない1949年に、照さんの父親が「子供たちにいい映画を観せたい」とオープン。しかし、1971年に父親、夫が相次いで亡くなる中、照さんが後を継いで、3代目館長に就任した。別府市内には映画全盛期に20館以上の映画館が軒を連ねていたが、その一つ一つが閉館する中、照さんは映画の灯を守り続けてきた。今年7月は照さんが館長になって50年。「今までお世話になった方々を喜ばせたい」と特別なイベントも構想中だっただけに、落胆も大きい。
小津安二郎監督の名作「東京物語」や大林宣彦監督の尾道三部作などの舞台で、映画の街と言われる広島・尾道に唯一ある映画館「シネマ尾道」からも同じような声が聞かれた。「2月は前年比4割減、3月は5割減。つい最近は8割減の週もありました。眠れぬ日が続いています。これまでもギリギリの経営を続けてきましたが、一昨年、ようやく黒字化できて、いよいよ、これからだという時に……」と河本清順支配人は話す。
シネマ尾道は、尾道最後の映画館「尾道松竹」が閉館になった際、当時20代だった河本支配人が「映画の街に映画館がないのは寂しいよね。なんとか映画館を作れんかねぇ」と映画好きの仲間に声をかけ、全国のミニシアターを調査し、全国から賛同者を集めて、資金を捻出。2008年に112席、1スクリーンのミニシアターをオープンさせた。尾道市などが主催する「尾道映画祭」の会場の一つにもなっており、尾道の映画文化の発信地だ。