半世紀の歴史は重い 新旧ファン納得の全日本プロレス9・18 50周年記念大会を振り返る

全日本プロレスらしさが満載だった。「50周年記念大会」(9月18日、東京・日本武道館大会)は、王道・全日本の半世紀を昭和から知る人たちはもちろん、平成、令和から観戦し始めたファンにとっても、楽しめるファイトとなった。

新時代の全日本プロレスをけん引する3冠王者・宮原健斗【写真:柴田惣一】
新時代の全日本プロレスをけん引する3冠王者・宮原健斗【写真:柴田惣一】

スタン・ハンセンらが立会人に駆け付けた

 全日本プロレスらしさが満載だった。「50周年記念大会」(9月18日、東京・日本武道館大会)は、王道・全日本の半世紀を昭和から知る人たちはもちろん、平成、令和から観戦し始めたファンにとっても、楽しめるファイトとなった。

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 巨漢選手が体をぶつけあう肉弾戦。ジュニア選手の華麗な空中戦。歴史を誇るベルトをかけたタイトルマッチ。次世代を背負う新時代の選手がデビュー。全日マットを彩ってきたレジェンドたちがそろった特別試合。スタン・ハンセンらが立会人に駆け付けた。

 全日本らしい独特の間合いも健在で、会場を訪れた人気マジシャンのKiLa(キラ)も「いや、見逃せない」と大喜びだった。190センチの長身でイケメンのKiLaは、テレビ番組「超マジシャンシリーズ」で見事に優勝。世界のひのき舞台・米ラスベガスで日本人クロースアップマジシャンとして初めて、単独でショーを開催するなど、世界をまたにかける実力派。テレビ出演も多く、この日も気づいたファンに記念写真をねだられていた。

 熊本出身のKiLaは、子どものころから全日本のテレビ中継を見て育った。以前、パーティー会場でザ・グレート・カブキに会ったときには「全日ファンです」と本当にうれしそうにマジックを披露。そのすご技に「え? 何? どうなっているの?」と、普段はものごとに動じないカブキもビックリ。その場に居合わせたケニー・オメガは目を丸くし「オーマイガー!」を連発。人だかりができるほどだった。

 他にも多くのレスラーがKiLaのマジックを体験。つけていた腕時計を知らぬ間に外され、コインが手に瞬間移動して来るなど、自分自身で体験する数々の驚きのマジックにすっかり虜(とりこ)になっていた。

 KiLaは全日本所属時代のカズ・ハヤシにマジックを伝授したことがある。カズはファン感謝デーで対戦相手の西村修をマジックで翻弄(ほんろう)し、見事勝利をおさめた。「全日本道場にマジックを教えにお邪魔した。浜亮太さんのちゃんこ、おいしかった」と全日LOVEを全開。久々の観戦となったが「昔の全日本とはだいぶ違うけど『明るく、楽しく、激しく』は変わらないのでは」とズバリ。

 大森隆男とGET WILDを復活させた征矢学とは旧知の仲で、世界タッグ戦にも注目していたが、ベルト奪取はならず。「残念。でもいいタッグ。もっとWILDになるマジックを伝授したい」と次に期待していた。

 また、3冠ヘビー級次期挑戦者決定戦でジェイク・リーを秒殺した野村直矢に興味を持ったようだ。「征矢さんも野村さんも、2人とも全日本を退団した選手……全日本は母校みたいなものかな。卒業したり転校したりしてもまたいつか訪れる、というような。時は流れ、選手は変わっても、ファンには『変わらないものを求める心』と『変化を期待する心』の2つが複雑に交じり合っているのではないか」と思いを明かす。

「50周年、半世紀ってすごい。大型選手がぶつかるド迫力は全日本ならでは。これからも頑張ってほしい」と笑顔のKiLa。大満足のようだった。

 声援は禁止だが、拍手などで熱気は感じ取れる。ザ・グレート・カブキの舞、ハンセン登場時には大いに盛り上がり、GET WILD入場時に一気に客席のボルテージが上がった。期待値マックスの空気感はすごかった。また、セミでの野村のジェイク秒殺は、メイン開始までどよめきが収まらなかった。

 時代は変わっても、大型選手、ダイナミックな技、独特の間、全日本の基本的な良き部分は変わらない。50周年はひと区切り。歴史と伝統は大事にしつつ、新たな闘いの歴史を紡いでいってほしい。(文中敬称略)

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