アニサキス、缶詰はなぜ安全? 実はアレルギーのリスクも…メーカー担当者に聞いた

元AKB48の板野友美やタレントの薬丸裕英が腹痛被害を訴えて話題になった寄生虫のアニサキス。幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べることを原因とする食中毒として知られるが、一般的には目視での除去、冷凍・加熱で死滅させることでしっかりと予防できる。それでは、素朴な疑問として、サバなどの缶詰商品はどのように安全を確保しているのか。国内メーカーの担当者に聞いた。

缶詰食品のアニサキス予防策について聞いた(写真はイメージ)【写真:写真AC】
缶詰食品のアニサキス予防策について聞いた(写真はイメージ)【写真:写真AC】

目視での除去、冷凍・加熱で予防が可能 食中毒とアレルギーのリスクが存在

 元AKB48の板野友美やタレントの薬丸裕英が腹痛被害を訴えて話題になった寄生虫のアニサキス。幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べることを原因とする食中毒として知られるが、一般的には目視での除去、冷凍・加熱で死滅させることでしっかりと予防できる。それでは、素朴な疑問として、サバなどの缶詰商品はどのように安全を確保しているのか。国内メーカーの担当者に聞いた。

 厚生労働省の公式サイトによると、アニサキスの幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどの魚介類の主に内臓表面に寄生。宿主の魚介類が死んで時間が経過すると、内臓から筋肉に移動するという。予防策として、「魚を購入する際は新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。内臓を生で食べないでください」と紹介。また、調理の場合は「マイナス20度で24時間以上冷凍するか、70度以上もしくは60度の場合は1分加熱をしてください」と具体策を挙げている。

 一般社団法人大日本水産会「魚食普及推進センター」の公式サイトなどによると、アニサキスによる症状は、幼虫が人体の胃や腸の壁に刺さって食中毒(胃腸炎)を引き起こす「アニサキス症」と、現在14種類のアレルゲンが見つかっている「アニサキスアレルギー」の2パターンがあるという。

 缶詰の調理法については、メーカー担当者は「中心部の温度を120度で4分間加熱する方法、またはこれと同等以上の効力を有する方法でレトルト処理(高圧釜で加圧加熱殺菌)をするため、結果的にアニサキスの死滅が担保されています」と説明。安心・安全が確保されているとのことだ。

 少し気になるのが、もしアニサキスがいたとして調理した場合の死骸についてだ。「内容物を缶に詰めて密封してレトルト処理することで缶詰の保存性が確保されますので、その後の工程で開缶することはなく、アニサキスの死骸の除去を行う工程は組み込まれていません」(同担当者)という。

 一般的に対応の難しいアレルギーのリスクはどうか。「レトルト処理によりアニサキスは死滅しますが、アニサキスをアレルゲンとするアレルギー反応は否定できません。サバやサバ缶詰に限らず、多くの水産物や水産加工品でアニサキス症のリスクは存在していますが、加熱・冷凍など適切に加工処理されたものについて、問題はありません。しかし、特にアレルギーの懸念がある場合は、各種アレルゲンへの対応と同様に自衛をお願いします」としている。

 消費者がむやみに怖がる必要はなく、缶詰・加工食品に対する風評被害があってはいけない。正しい知識を得て、然るべき注意を払いながら、豊かな食生活を送っていきたい。

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