クラシックカーで町おこし貢献、日本旧軽車会とは 毎回大赤字も「神様が与えた使命」

カーイベントの開催が全国最多とも言われる埼玉県を中心に、各地で多くのイベントを主催する人物がいる。日本旧軽車会会長の吉崎勝さんは、会の名に違わぬ根っからの軽自動車コレクターだ。イベントは「毎回赤字で年間だとかなり厳しい状況です」と言いながらも、なぜ身銭を切ってまで開催を続けるのだろうか。「神様が与えた使命」と語るその理由を聞いた。

各地で多くのイベントを主催する日本旧軽車会会長の吉崎勝さん【写真:ENCOUNT編集部】
各地で多くのイベントを主催する日本旧軽車会会長の吉崎勝さん【写真:ENCOUNT編集部】

全国最多とも言われる埼玉県を中心に、各地で多くのカーイベントを主催

 カーイベントの開催が全国最多とも言われる埼玉県を中心に、各地で多くのイベントを主催する人物がいる。日本旧軽車会会長の吉崎勝さんは、会の名に違わぬ根っからの軽自動車コレクターだ。イベントは「毎回赤字で年間だとかなり厳しい状況です」と言いながらも、なぜ身銭を切ってまで開催を続けるのだろうか。「神様が与えた使命」と語るその理由を聞いた。

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 往年の旧車の中でも、とりわけ軽自動車が好きだった吉崎さんが有志の仲間と日本旧軽車会を立ち上げたのは2017年。最初はツーリングを計画していたが、より人が集まるイベントの方がいいのでは、と商業施設を借りてのカーイベントを企画した。最初は施設側もそこまで乗り気ではなかったが、往年の名車が並ぶ光景にはかなりの集客効果があり、回を重ねるうちに口コミで各地から開催の依頼が舞い込むようになったという。

「最初は100台くらいしか来ない駐車場で年2回、ゴールデンウイークとクリスマスにやっていました。クリスマスは赤、緑、白のクリスマスカラーの車を集めて、女性客にケーキを配るサービスをしたんですが、これが好評だった。商業施設の他にも、自動車学校の宣伝や町おこしに使いたいという声も多くて、今は埼玉や群馬、千葉、長野など、各地で年中イベントをしています。今年は年間18回、多いときは24回やったこともあった。埼玉でカーイベントが多いのは私がいるから。これだけ開催している人はおそらく他にいないでしょう」

 今では年間のスケジュールがびっしりと埋まっているという状況。さぞやイベント開催が楽しいのかと思いきや、むしろ使命感によるものが大きいという。

「私が断れない性格なのを知って、次から次へと依頼が来るんですよ(笑)。毎回40~50万円くらいの費用がかかるが、会費はなるべく取りたくない。いつも持ち出しで10万円くらいは赤字が出ているので、仕事も辞めるに辞められない。ただ、みんながリピーターになってくれて、最初100台のイベントが翌年200台、次の年には400台と増えていく。自分で始めた以上はこれも神様が与えた使命。みんなが喜んでくれるなら、やれるところまではやろうかなと」

 一時期はイベントに暴走族が集まってしまったこともあったが、今は警察署と連携でイベントを開催するなど対応。イベント内で参加者同士の接触事故も付き物だが、事前の誓約書など対応マニュアルも作成しており、トラブルとなることは少ないという。

「旧車の文化、魅力を後世に伝えていくのが私の使命かなと思っている。イベントでも、80年代以降のネオ・クラシックカーなどお父さん、お母さんが乗っていたからと興味を持つ若い人が増えてるんです。20代や高校生の子から『かっこいい』『かわいい』、『これどこに売ってるんですか?』と聞かれることもある。今はまだ車に乗れない子どもたちに旧車、軽自動車の魅力を伝えるためにも、いずれ軽自動車専門の博物館を作りたいと思って、今は土地を探しているところです(笑)」

 後世に旧車文化を伝えていくため、まだまだ夢は尽きないようだ。

次のページへ (2/2) 【写真】吉崎さんの87年製三菱ミニカ・ティコ(左)と2000年製スズキ・アルトワークスRSZ(右)
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