伝説のドライバーが数々の車に乗って1996年式のアルファロメオにたどり着いた理由

元プロラリードライバーの根本純さん(71)は世界で最も過酷とされるパリ・ダカールラリー(現ダカールラリー)に日本人として初挑戦、トータル13回にわたって出場した。これまで5大陸55か国200万キロを走破。そんな根本さんはプライベートでどんな愛車に乗っているのだろうか。

東京タワーをバックに愛車と【写真:本人提供】
東京タワーをバックに愛車と【写真:本人提供】

華麗な愛車遍歴を振り返る

 元プロラリードライバーの根本純さん(71)は世界で最も過酷とされるパリ・ダカールラリー(現ダカールラリー)に日本人として初挑戦、トータル13回にわたって出場した。これまで5大陸55か国200万キロを走破。そんな根本さんはプライベートでどんな愛車に乗っているのだろうか。(取材・構成=水沼一夫)

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 若い頃からいろんな車に乗ってきましたね。最初に自分で買ったのはトヨタのカリーナGT。その後、本格的にラリーに出るようになってからはカローラレビンの37、71のトレノ、86のトレノ、三菱のA175Aランサーターボ、KP61スターレットにスバルのジャスティもあった。

 パリダカに出てからは自動車評論家としても食べていて、その頃の愛車は日産のテラノだったね。2WDより4WDのほうが魅力で、クロカンブームみたいのがあった。ビッグホーンのRSと同時にジムニーも持っていた。いすゞに付き合いがあったからビークロスも乗ったし、ジェミニーは2台乗り継いで、それからトヨタのRAV4に乗った。新しいし、面白いかなと思って。

 RAV4はSというのもあって、セリカのエンジンを積んでいて、ものすごい速かったのね。これで日本のオフロード選手権みたいな大会でチャンピオンになって、テレビにも出演した。2代目加勢大周を乗せて教えたり、ウッチャンナンチャンや中山秀征も教えたことがある。そんなタレントもどきのこともやっていた時期だよね。

 外車は結婚したときにフォルクスワーゲンのビートルを一時期、そしてジープ・チェロキー、ジープ・ラングラーと乗りました。

 最近はアルファロメオですね。156に乗って、その後にアルファのスパイダー、916スパイダーを乗り継いで、2年前にアルファのGTV、V6の2リッターターボというちょっと変わった1996年製の車を買いました。あとガレージには、ずっと昔からラリー仲間が大事にしてたバーキン7というスーパーセブンが入っています。これは残念ながら、その友達が死んじゃったので譲ってもらったものですね。スーパーセブンは本当のクラブマンスポーツの楽しさがあって、週末に楽しむモータースポーツとかワインディングロードを走るには最高ですよね。

 数々の車に乗って、アルファロメオに行き着いた理由ですか。

 それはね、貧乏な俺でも買えたおしゃれ車かな。そんな感じだよ、はっきり言って(笑)。最初に156を買ったのは、息子がたまたま免許を取ったのがきっかけだよね。ガレージにはジープが入っていたんだけど、出すときに見事に失敗して、シャッターをつぶしちゃったんだよね。それでトラウマになって、もうマニュアルは嫌だとか言っちゃって、それでしょうがねえなと。

 だけど、基本オートマは嫌いだから、何かないかなと思って探したらアルファの156セレスピードというオートマ免許でも乗れるような車が手に入った。それがたまたま黒のボディーに赤革のシートと内装で、おしゃれだったというのがある。

 あと乗ってみると、やっぱり音が感動的だったね。それからハンドリングもFF(前輪駆動)だけど意外にいいし、(デザイナーの)ピニンファリーナとかあのあたりのラテンのデザインは昔から好きだった。俺はイタ車というのは情熱的で、口説けば何とかなる可能性もある女の子に例えるわけよ。超高級なフェラーリとかああいうのは好きだけど無理だから、庶民の手の届くラテン娘だと思っていますよ(笑)

都内の名所を走る「THE銀座RUN」を主催している【写真:本人提供】
都内の名所を走る「THE銀座RUN」を主催している【写真:本人提供】

アルファロメオはやんちゃな車

 今のピニンファリーナの916シリーズはエンリコ・フミアがデザインしているけど、相当モダンですよね。GTVは25年前の車だけど、気にいっていますよ。

 GTVは基本、916と同じデザインなんですよ。それの屋根あり版。それから初期の2リッターV6ターボって、V6で2リッターみたいなある意味でぜいたくな仕様になっている。これはイタリアの税金対策なんだよね。2リッター以下でパワーを出すようになっている。ちょっとやんちゃなアルファで、そんなに台数も多くないし、貴重なのが見つかったので。日本には500台…いや、もっと少ないと思いますよ。いずれのアルファも安く買って、倍ぐらい維持費がかかっている。伊達娘に振り回されてますよ。

 先日も主催したクラシックカーのツーリングイベント「THE銀座RUN」にGTVで参加しました。仲間と走るイベントは定期的にやっていて、「THE銀座RUN」は秋にもやっています。山梨では「THE清里RUN」もやります。ラリーを始めて4年目ぐらいから主催もやっているんですよ。パリダカのエッフェル塔をイメージして東京タワーから出発したり、クラシック モンテカルロラリーの日本版をやりたいなと思って、伊豆のラリーでは清水からフェリーに車を乗せて土肥からスタートしたり、そんなこともやっています。

 若いときは、クロカンでキャンプやりながらワイワイしていたけど、年齢とともに思考が多少は変わってきて、大人の集いみたいなものを目指していますね。これからは環境にもっと配慮して、ただガンガン遊ぶんじゃなくて勉強しながら巡るとか、歴史も絡めるとか、ちょっと思慮深いイベントをやりたいなと思っています。

 もちろん、コロナも明けて来たし、また海外でも走ってみたいですね。最初「おはよう700」(おはようセブンオーオー、TBS系)のコーナー「キャラバンII」の運転手で、アラスカからブラジルまで縦断したとき、コロンビアで離脱しちゃったから、走り切っていないんですよ。ゴールのフエゴ島まで行きたいよね。あとスカンジナビア3国も行ってない。それこそ、フィンランドとかラリーの本場。俺はウインターラリーも好きだから、雪の中とか走ってみたいよね。モンテカルロラリーもサポートでは行っているけど、メインのドライバーじゃなかったし、往年の名車でぜひ走ってみたいですよ。

□根本純(ねもと・じゅん)1951年5月25日、神奈川・藤沢市出身。81年、日本人として初めてパリ・ダカールラリーに挑戦。97年まで13回出場し、完走6回、リタイア7回。5大陸55か国200万キロを走破。元文京区議会議員。現在はツーリングイベント「THE銀座RUN」などを主催。秋には「THE清里RUN」を行う。「VAZ☆Club De i」主宰。

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