日本の新型コロナ規制が順次緩和される中、K-POPアイドルグループの来日公演が続々と開催されている。4月にSUPER JUNIORがさいたまスーパーアリーナで3日連続スペシャルイベントを、TWICEも東京ドームで3日連続公演を開催した。その後、SEVENTEENがさいたまスーパーアリーナで2日連続ファンミーティングを、NCT127は東京ドーム2日連続公演を行った。東方神起は5月初旬から6月末にかけて全国6都市を巡るファンクラブイベントツアーを開催中だ。そして、韓国の大手芸能事務所・JYPエンターテインメント所属の9人組ガールズグループ・NiziU（ニジュー）も7月からの来日ライブツアーが決まった。いずれも大規模会場だが、K-POPファンの間からは「チケットが取れない」といった悲鳴が上がっている。

　NiziUは7月23日から9月18日にかけて神戸、福岡、北海道、宮城、東京、大阪、愛知の7都市で計15公演を行う。注目度が高い公演のためファンはYouTubeでチケット当落リアクション動画を続々配信。中には全15公演すべてに応募してかろうじて当選を勝ち取ったファンが歓喜の涙を流す動画もアップされている。

　2010年から始まった第2次韓流ブームでは少女時代、KARA、東方神起、BIGBANG、2PMなどが人気を得た。少女時代は同年8月25日に東京・有明コロシアムでプレミアムショーケースライブを開催。予想もしなかった2万2000人ものファンが殺到したため、当初1公演の予定を急きょ3公演に増やすというハプニングもあった。その少女時代が所属する韓国の大手芸能事務所・SMエンターテインメントからこの夏、大型新人グループが来日しショーケースを行う。そのグループとはaespa（エスパ）。「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」という独自の世界観をベースに20年にデビューした4人組ガールズグループだ。デビュー曲「Black Mamba」のミュージックビデオは、K-POPアーティストのデビュー曲としては史上最短で再生回数1億回を突破。その後、「Next Level」「Savage」などが次々とヒットし、今年4月にはアメリカで開催された「Coachella Valley Music and Arts Festival」でパフォーマンスし世界的な注目を集めた。

　同グループが日本で行うショーケースは8月6、7日各2回で計4公演。会場は横浜市西区みなとみらいの新施設・ぴあアリーナMMで、同所は1万人を収容できる。動員数は計4万人となり、12年前の少女時代と比べると規模が格段に大きくなっていることが分かる。少女時代は14年12月9日に東京ドーム公演を行っているが、こちらは1日のみの開催だった。TWICEは東京ドームで4月23、24、25日の3日連続公演を行い約15万人を動員。チケットの応募が70万枚も殺到しチケット難民が続出した。すさまじい人気というほかない。

　K-POPに詳しい音楽ライターがこう言う。「TWICEが東京ドーム3日連続公演を成功させたのは約2年ぶりの来日公演となったことや巣ごもりの反動によるリベンジ消費という面もありますが、ファン層の拡大が最大の要因です。コロナ禍の中、K-POPはコンピューターグラフィックス（CG）を駆使したYouTubeミュージックビデオの制作に資金と人材を注ぎクオリティーを格段に高めてきましたし、プライベートをSNSで発信し世界中のファンと積極的に交流しました。NCT127の日本人メンバーYUTAのインスタグラムフォロワー数は827万人と日本の男性タレントではダントツの1位です。NiziUの4日連続東京公演は8月31日、9月1、3、4日に国立代々木競技場第一体育館で行われますが、前半の2公演は水曜と木曜です。平日夜に公演ができるのはそれだけ根強い人気があり集客が見込めるからです。もし大御所のBTSやBLACKPINKの来日ツアーが決まったら空前の規模が予想され、チケット争奪戦は必至です」。

　K-POPグループが相次いで来日公演を行う背景には、近年急激に膨れ上がっているファンの存在がありそうだ。