屈指の名作「ククルス・ドアン」劇伴は半沢直樹の作曲家 ガンダム音楽の制作過程とは
テレビアニメ「機動戦士ガンダム」の“神回”が、映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」(公開中)として約40年ぶりにスクリーンに戻って来た。ガンダムの名場面も盛り込まれている同作は、「戦争と子ども」がテーマ。名作をより輝かせる劇伴は、フジテレビ系連続ドラマ「HERO」、TBS系連続ドラマ「半沢直樹」などの音楽を手掛けた作曲家の服部隆之氏が担当した。服部氏にガンダム音楽の制作過程を聞いた。
音楽を手掛けた服部氏 気になるのは「マ・クベ」
テレビアニメ「機動戦士ガンダム」の“神回”が、映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」(公開中)として約40年ぶりにスクリーンに戻って来た。ガンダムの名場面も盛り込まれている同作は、「戦争と子ども」がテーマ。名作をより輝かせる劇伴は、フジテレビ系連続ドラマ「HERO」、TBS系連続ドラマ「半沢直樹」などの音楽を手掛けた作曲家の服部隆之氏が担当した。服部氏にガンダム音楽の制作過程を聞いた。(取材・文=西村綾乃)
テレビアニメ「機動戦士ガンダム」は1979年に放送を開始した人気ロボットシリーズ。宇宙を舞台に主人公のアムロ・レイが、地球連邦軍が開発した超高性能試作モビルスーツ「ガンダム」を駆り成長する物語は、国内外で支持されている。
全43話の中で、今回映画化された第15話の「ククルス・ドアンの島」は、かつてはジオン軍でザクを操っていたドアンが、子どもたちから親を奪った戦争に加担していた罪滅ぼしとして孤児を育てる物語。脱走兵・ドアンは「愛するものを守ることとは何か」を問いかけている。服部氏は言った。
「大切にしたのはたくましく生きている子どもと、ドアンの生き様、そしてドアンや子どもたちが暮らしている『帰らずの島』。この3本柱を念頭に置きました。監督の安彦良和さんは、79年に放送された15話でもキャラクターのデザインを務められた方。安彦さんの絵コンテなどを見て、イメージを膨らませていきました」
残敵掃討作戦のためアムロはガンダムに、カイはガンキャノンに乗り込んで、無人の島に降り立った。それぞれ分かれて島を探索する中、カイはたくさんの子どもたちと遭遇。子どもたちから「帰れ!」と石を投げられ困惑する。この時に流れるコミカルな音は、ある映画をイメージして制作された。
「ククルス・ドアンの島は、地球連邦軍とジオン軍という、ガンダムの中で多く描かれている対立軸を超えた物語です。それぞれが抱えた背景などを音にするために、安彦監督にお願いしたのは『キーワード』をいただくこと。生き生きと輝く子どもたちは映画『ホーム・アローン』などをイメージして制作していきました。ここで流れる子どもたちのテーマである『たたかう子供たち』は、映画のさまざまな場面で、アレンジが異なるバージョンを聞くことが出来ます。このシーンでは、モビルスーツに石で対抗する……。子どもたちは真剣だけれど、ちょっと、滑稽な様子が伝わればと思っています」