高市早苗氏が20年乗り続けた愛車スープラの今 損傷多数もレストアで“30年前の状態”へ
レストアの最難関「どうしても換えがきかない」箇所とは?
また、ダッシュボードは直射日光を浴び続けた影響で破損していた。レストア全体でも最難関なパーツとなっている。
「ダッシュボード自体が割れてしまうと、どうしても換えがきかないので、もうそのものを変える以外に手がないんですね。割れを補修するのもそうなんですけど、表面には人間の皮膚と同じで、シボと言われる模様みたいなのがついているんですよ。これに対して正しい修理方法というのがないので、試行錯誤してやっているところですね。今やっている方法が成功かどうかというのもまだ分からない状況なので、この部分がちょっと先の見えない、未知数なところですね」(ボディーチームの竹田順一さん)
それでも、車を一から復元することはエンジニアにとって大きなやりがいだ。竹田さんは、1992年式の70スープラを所有していた。スープラを知り尽くしている職人だ。「スープラは高校のときから好きだったので、高市さんのスープラをレストアさせてもらうのはとてもうれしく思います。もう30年近く前の古い車なので部品がやつれていたり、欠陥部品もいっぱいあるので、いろいろと苦労するところもありますが、なるべく元に近い状態に、きれいに修理させてもらいたいです」と、意気込む。
最新の部品を取りつけることはあえてしない。目指すのは、あくまでもオリジナルの姿だ。後付けのナビゲーションなどは取り外し、発売当時のノーマルの状態を目標にしている。完成車両は、昨年11月にオープンした「まほろばミュージアム」に恒久的に展示される予定だ。初代カローラやピンクサファイア クラウン、MR2など、垂ぜんの名車・特別仕様車の仲間入りをすることになる。
高市氏が「こういうとんがったタイプの車が徐々に姿を消し始めた後も、ずいぶん長い間、私は大切に乗ってまいりました」と話すほど、思いがたっぷり詰まった大切な車。
越田さんは、「1台1台、いつも前にレストアした車より、きれいにと思って仕上げていっています。前回赤いスープラをレストアさせてもらったので、それに負けないくらい、今回の車両も仕上げていきたいなと思っております」と、究極の仕上げを約束した。