高市早苗氏が20年乗り続けた愛車スープラの今 損傷多数もレストアで“30年前の状態”へ

自民党の高市早苗政調会長が20年乗り続けた愛車の1991年式トヨタスープラ(JZA70型)が地元奈良でフルレストアされている。「奈良トヨタ80周年記念事業」として2月に企画が始まり、全工程のうち、3割程度まで進行した。秋には完成し、奈良トヨタ(菊池攻社長)の自動車博物館「まほろばミュージアム」(奈良市)に展示される予定で、レストア担当者は、取材に「元に近い状態にしたい」と話している。

レストア中の愛車スープラ【写真:奈良トヨタ提供】
レストア中の愛車スープラ【写真:奈良トヨタ提供】

愛着たっぷり「乗り心地も、そして走りも最高」な1台

 自民党の高市早苗政調会長が20年乗り続けた愛車の1991年式トヨタスープラ(JZA70型)が地元奈良でフルレストアされている。「奈良トヨタ80周年記念事業」として2月に企画が始まり、全工程のうち、3割程度まで進行した。秋には完成し、奈良トヨタ(菊池攻社長)の自動車博物館「まほろばミュージアム」(奈良市)に展示される予定で、レストア担当者は、取材に「元に近い状態にしたい」と話している。(取材・文=水沼一夫)

 スープラは奈良トヨタにとってレストアプロジェクトの9台目となる特別な車だ。高市氏が約20年乗り続けた愛車で、その後、知人が約10年保管していたものを買い取った。このたび、職人の手によって車を解体。部品を磨いたり、入れ替えるなどして復元・再生することになった。

 2月に「STスープラ 80レストアプロジェクト発足式」を行い、プロジェクトの概要を発表した。エンジニアを始め、ボディーやペイントなど、それぞれの分野の専門家10人が県内の各店舗から集められた。目的は「技術の継承」で、年齢は20代から50代までと幅広い。高市氏はビデオメッセージを寄せ、レストアについて「本当に夢のよう」と感激。「このスープラは、これまでずっと中古車しか買えなかった私が、一生懸命働いて、人生で初めて新車で買った車。乗り心地も、そして走りも最高でした」とコメントした。国会議員になった後も終電を逃すと、東京から奈良まで自ら運転して往復したエピソードを披露した。

 格納式の角型ヘッドライトが印象的で、ボディーカラーはホワイト。流麗なデザインのスポーツカーは最高出力280馬力と、力強さも感じさせる。レストアは車両の分解から始まり、必要な部品の洗い出し、修理・補修箇所の選定を実施。その後はボディーの補修や塗装、さらにエンジン、シャシー、内装の補修を並行して進めるという大がかりなものだ。

 すでに部品の取り外しは完了しており、5月中旬に取材した際は、ボディーには何もついていない状態だった。「その状態でボディーの塗装をしていき、でき上がった部品から組み上げていって、最後に全てを1個にして、車検が取れるところまで調整します」(レストア班リーダー・越田実さん)

 走行距離は作業開始時点で、7万7000キロ。越田さんは、車両を見たときの第一印象について「保管状態は良かった」と話す。ボディー等に腐りはなく、さびを落として磨き、塗装をするという一連の流れがイメージできた。

 一方で、30年も前の車だけに、損傷もあった。燃料タンクは「長期間、ガソリンが入ったまま保管されていたので腐っていました」。現在もレストアの最中で、「ガソリンタンクの中がもう卵の殻みたいな感じでサクサクで、それを何回も洗ったりして、今、また中のコーティングをしていこうと思っているところです」と続ける。トランク内にスペアタイヤを入れる箇所にも水がたまっており、腐敗していたという。

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