非喫煙者が始めた“喫煙専門カフェ” 環境美化や副流煙防止のためにも「吸える場所を」

5月31日は世界保健機関(WHO)が定めた世界禁煙デー。相次ぐたばこ増税に伴う値上げや健康増進法改正による喫煙所の撤去など、喫煙者への風当りも年々強さを増している。そんななか、全席喫煙可の「喫煙目的施設」として昨年渋谷にオープンしたのが「SMOKE&CAFE LIGHTERS」だ。なぜこのご時世に喫煙専門のカフェを始めたのか。渋谷公園通り沿いにある同店を訪ねた。

昨年8月、渋谷にオープンした喫煙専門カフェ「SMOKE&CAFE LIGHTERS」
昨年8月、渋谷にオープンした喫煙専門カフェ「SMOKE&CAFE LIGHTERS」

全席喫煙可の「喫煙目的施設」として昨年8月渋谷にオープン

 5月31日は世界保健機関(WHO)が定めた世界禁煙デー。相次ぐたばこ増税に伴う値上げや健康増進法改正による喫煙所の撤去など、喫煙者への風当りも年々強さを増している。そんななか、全席喫煙可の「喫煙目的施設」として昨年渋谷にオープンしたのが「SMOKE&CAFE LIGHTERS」だ。なぜこのご時世に喫煙専門のカフェを始めたのか。渋谷公園通り沿いにある同店を訪ねた。

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 喫煙目的施設とは、バーやスナック、たばこ販売店、公衆喫煙所など喫煙をサービスの主目的とする施設のこと。バーやスナックとして営業する場合、たばこの対面販売を行っていること、主食の提供を行わないことが条件となるが、ランチタイムに限り主食であっても提供が認められる場合がある。同店は昼は食事を提供し、夜は軽食のみのバーとして営業している。

「SMOKE&CAFE LIGHTERS」がオープンしたのは昨年8月24日。立ち上げメンバーの一人でたばこを吸う人と吸わない人の共存を目指す政治政党「愛煙党」代表の男性がSNSで開店を発表し、メディアにも多く取り上げられた。店長で元イタリアンシェフの宮本達矢さんは開店の経緯を次のように語る。

「社長が葉巻の愛好家で、以前から『おいしいものを食べながら喫煙を楽しめる店が必要だ』と話しており、イタリアンの店をやめて出店を決めました。私はもともと喫煙者ではありませんでしたが、一方的に喫煙者を悪者扱いする風潮には疑問を感じていた。一般の飲食店がたばこを吸わない人のための店になるのなら、たばこを吸う人のための店があってもいいのではと」

 喫煙者といえど、狭く締め切った煙たい空間の中での喫煙は嫌なもの。店内にはエアコン6基、焼肉店用の大型換気扇を2台備えるなど臭い対策は万全だ。20歳未満は入店不可で、受動喫煙防止のためスタッフも全員が喫煙者。土日のピーク時には40席ほどの店内が全席埋まり、入店待ちが発生することもあるなど好評で、需要は確実にあるという。

「開店当初は不安もありましたが、喫煙者はもちろん、たばこを吸わない人からも『こういう店ができるのを待っていた』と好意的な声をいただきました。渋谷は喫煙所が少なく、吸う場所がないために路上喫煙や吸い殻のポイ捨てが横行している。一方的に喫煙者を排除するのではなく、きちんと吸える場所を作ることが副流煙防止や街の環境美化にもつながると思います」

次のページへ (2/3) 喫煙目的施設の新規出店にはハードルが多いのが現状
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