コロナ禍で子ども食堂の現実 「お弁当やったら行かへん」環境の変化に戸惑いの声

実働ボランティアが減少 失われる「学び」の機会

 ただ、食堂以外でも、コロナの影響は深刻だ。子どもセンターには、学習支援のスペースがあり、老若男女さまざまな年代のボランティアと接することで孤立を解消し、子どもの成長につなげてきた。こうしたボランティアとの交流機会はコロナによって激減している。

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 代表理事の西川奈央人(なおと)さんは、「うちの場合は、幅広い年齢層のボランティアが関わっていまして、子どもたちからすると、おじいちゃんおばあちゃん、それ以上の世代に至るまで、本当に多様な世代、人柄のスタッフたちとの交流が持てたんですけど、コロナ禍になってやっぱり熟年世代は参加しにくい現状もあったりして、もともとの近所の親戚の家みたいな雰囲気は変わってきてしまいました」と打ち明ける。

 学習支援のほか、子どもたちにとっては、悩みごとを聞いてもらったり、手芸を習ったり、折り紙など昔の遊びを教えてもらったり、多くの役割を果たしていた。密を避けるため、遠足などの外出イベントも企画してみたが、運営は簡単にはいかなかったという。

 ボランティアを志願する若者の数も減少した。同センターの支援対象は小学生から高校生までと幅広く、ボランティアには大学生のほか、卒業した子どもたちがOB・OGとして運営を手伝う循環も生まれていた。子ども1人につき、ボランティアがマンツーマンでつくほど活発だった。しかし、現在では登録45人のうち、活動しているのは半分程度になった。新規で募集することも容易ではない状況だ。

 西川代表「学生の募集が特に苦労していますね」

 西川前代表「集めても(以前のように)活動してもらえないからすごいジレンマです」

 子どもと触れ合う経験を生かし、教員や福祉の職に就いた元ボランティアもいる。子どもの支援を通じて、ボランティアの人生に与える影響も大きかった。

「ボランティア自身の気づきを共有しながら、子どもを育ってていってもらったり、何か活動を盛り上げていくというプロセスが、本当にうまく機能できなくなっているなというのは思います。研修もきちんとできない状態だったので、集団のパワーみたいなものを若い人たちから引き出すというところが難しい。子どもと出会ってこそ、いろんなことに気づいてもらえるので。それが減っているというのが本当に今は心配です」(西川前代表)

 15年にわたり、地域に根差してきた団体は岐路に立たされている。

 西川代表は、「子どもは人との関りを求めている。不登校になってしまったり、学校に通いにくくなっている子どもたちが多くなったなと実感しています。そういう子どもたちが日中、家族以外の人と会えるような場所があって、どうつながっていけるか。学校や区役所、行政が把握して、民間と連携できる仕組みがどこの地域にもできればいいなと思います」と結んだ。

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