コロナ禍で子ども食堂の現実 「お弁当やったら行かへん」環境の変化に戸惑いの声

コロナ禍はNPO法人(非営利組織)の在り方に大きな影響を与えている。徐々に再開の動きを見せているものの、対面イベントの自粛等により、十分な活動が制限される中、各団体はどのように運営をしているのか。試行錯誤しながら奮闘する団体の取り組みを追った。

長引くコロナ禍が子ども食堂に影響を与えている【写真:NPO法人西淀川子どもセンター提供】
長引くコロナ禍が子ども食堂に影響を与えている【写真:NPO法人西淀川子どもセンター提供】

試行錯誤のNPO団体 食堂→弁当配布に困惑の声

 コロナ禍はNPO法人(非営利組織)の在り方に大きな影響を与えている。徐々に再開の動きを見せているものの、対面イベントの自粛等により、十分な活動が制限される中、各団体はどのように運営をしているのか。試行錯誤しながら奮闘する団体の取り組みを追った。(取材・文=水沼一夫)

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 NPO法人西淀川子どもセンター(大阪市)は15年前から、地域の子どもたちを支援している。前代表の西川日奈子さんが、何か困ったりしんどい時に駆け込んでこれる「近所の親せきの家」のような安心できる場を作ろうと、活動を開始した。現在は任意団体も含めて、地域9つの子ども食堂や無料の学習支援を行う団体が集まった「西淀川子どもネット」の呼びかけ役も務めている。

 コロナは子どもの支援団体にどのような影響を与えているのか。

「今、従来の子ども食堂ができていないですね。お弁当の配布に変更している食堂もあるんですけれども、子ども食堂に戻れるのかという悩みを抱えていますね。1か所の子ども食堂に申し込んでくるお弁当の数が、みんなうなぎ上りに上がってきていて、多いときで160食ぐらいを週に1回とか配っているんですけど、本来は弁当配りの活動がしたくて立ち上げたわけではないんですよね。たぶん、全国的にいろんなところで、物資の配布に今すごくエネルギーを使っておられると思います」

 西淀川子どもセンターも一時期は食事を弁当に切り替えた。しかし、もともとの活動は、子どもと一緒に料理を考え、食材をともに買い出すことから始まる。「食べる」行為より、重んじるのはその過程であり、共有する時間という認識だ。

「子どもたちが家に帰っても誰もいないとか晩ごはんはないという話をたくさん耳にするようになって、夜のご飯もいるかなって迷いながらやり始めたのが2013年ですね。どこに卵が売っているとか、お豆腐が売っているとか、一緒に買いに行って、一緒に調理して食べるという普通の夕食の営みを支援に取り込んだんです。ここに来て料理を覚えたという子どももいました」

 慣れ親しんだ食事環境の変化は、何よりも、子どもたちに戸惑いを与えた。「お弁当やったら行かへん」「どうせ持って帰ってもそれを1人で食べなあかん」。緊急事態宣言下など、弁当のテイクアウトに切り替えざるを得ない状況の中で、どのように活動に意義を見出せばいいのか、自問自答が続いた。

 設立当初からあった、総合的な居場所作りという理念はぶれることはない。「家にインターネットの環境のない子もいますので、授業がオンラインになったら事務局へ来て授業を受けなければいけなかった高校生もいます」と多方面からサポートを続けている。

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