コロナ禍が国際交流に打撃 NPO「一番大きいのは交流ツアーができなくなったこと」

新型コロナウイルスの流行が国際交流を活動の柱にするNPO法人に、暗い影を落としている。出入国制限により、本来の事業ができなくなり、国をまたいだ交流が危機に立たされている。実状はどうなのか。スリランカへの支援を行うNPO法人ラマーミトゥルの会(西東京市)を取材した。

スリランカ出身の山崎シルヴァ理事長【写真:ENCOUNT編集部】
スリランカ出身の山崎シルヴァ理事長【写真:ENCOUNT編集部】

子ども食堂でのスリランカ料理提供も中止に

 新型コロナウイルスの流行が国際交流を活動の柱にするNPO法人に、暗い影を落としている。出入国制限により、本来の事業ができなくなり、国をまたいだ交流が危機に立たされている。実状はどうなのか。スリランカへの支援を行うNPO法人ラマーミトゥルの会(西東京市)を取材した。(取材・文=水沼一夫)

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 同会は、スリランカ生まれの山崎シルヴァ理事長が2012年に立ち上げた。「ラマーミトゥル」とは、シンハラ語で「子どもの友情」を指す。スリランカとの交流や、現地の小学校に寄付するなど、10年にわたり、多くの事業を行ってきた。

 会員は約100人で、正会員と賛助会員に分かれる。年間では40万円ほどが集まり、経費を除いた30万円ほどをスリランカに寄付している。行政から助成金は受けていない。コロナで一部の会員は退会したものの、「会費と寄付が急に減ったということはない。財政的に厳しいというのはないです」と、収支面では影響は受けていない。

 一方、山崎さんは「一番大きいのは交流ツアーができなくなったこと」と話す。

 年1回のビッグイベントで、日本からは会員のほか、学生の参加者も募ってスリランカを訪れていた。複数の学校を回り、縄跳びや折り紙などで子どもたちと文化交流を図り、寄付の使い道も希望を聞いた。日本人に実際のスリランカを体感してもらい、知識を深めてもらうことは、団体の運営上、大きな意義があったが、19年を最後に実現できなくなった。

 また、日本での活動も対面イベントの中止や規模縮小が続いた。山崎さんは東京都の特別支援学校の臨時教員を務める。子ども食堂ではカリー(カレー)などのスリランカ料理を提供してきたが、ここ2年はできていない。

「多いときは年に20回ぐらい、お祭りに出たりして、活動内容を掲示したり、チラシを配ったりしていた。ここ1~2年はほとんどゼロになった。こういうところから会員に入ってくれる人もいた。コロナは宣伝したい団体にとっては痛いです。発表する機会が失われたのは大きい」

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