ツーリング×神社の新スポットが脚光 バイク歴46年・63歳仕掛け人の“自腹”企画

バイク愛好家の交流の場として、既存の神社と提携する新スポットが脚光を浴びている。千葉県内の4か所の神社と協力関係を築き、「ライダーズ神社」と銘打ってイベントなどを行う「千葉県ライダーズ神社プロジェクト」だ。地域振興の一翼を担う同企画の運営団体「CHIBAIKU(チバイク)」実行委員長で、バイク歴約46年の矢野正人さん(63)に、神社とライダーを結び付ける試みに奔走する理由を聞いた。

千葉県で「ライダーズ神社」プロジェクトを立ち上げた矢野正人さん 【写真:ENCOUNT編集部】
千葉県で「ライダーズ神社」プロジェクトを立ち上げた矢野正人さん 【写真:ENCOUNT編集部】

千葉県内4か所の神社と提携 台風・豪雨災害に見舞われた房総半島の復興にも思い

 バイク愛好家の交流の場として、既存の神社と提携する新スポットが脚光を浴びている。千葉県内の4か所の神社と協力関係を築き、「ライダーズ神社」と銘打ってイベントなどを行う「千葉県ライダーズ神社プロジェクト」だ。地域振興の一翼を担う同企画の運営団体「CHIBAIKU(チバイク)」実行委員長で、バイク歴約46年の矢野正人さん(63)に、神社とライダーを結び付ける試みに奔走する理由を聞いた。(取材・文=吉原知也)

 ライダーズ神社は、バイカーにツーリングを楽しんでもらい、神社で交通安全祈願をしてもらうことで、観光振興や地域活性につなげるコンセプトを掲げている。提携する神社とは、「宮司が常駐している」「駐車スペースがある」「地元の賛同を得ている」といった条件を確認。神社側は敷地内にライダーズ神社の旗を置いており、ライダー専用のステッカーとお守りを頒布している。旗揚げ時にイベントを実施し、その後は、ツーリング時にいつでも参拝することができるという仕組みだ。今年4月に銚子市で4社目の神社が加わった。

 そもそも、立ち上げは千葉に30年以上住む矢野さんと、バイク仲間との茶飲み話がきっかけだ。「千葉には多くのライダーがツーリングに来るのですが、大掛かりなツーリングイベントはあまりやっていない。『そう言えば、やってないよね』『じゃあやってみようよ』。こんな会話が始まりでした」。2018年10月に企画を思い立ち、年末にツーリングラリーのイベントを手弁当で成功させた。

 ところが、翌19年に房総半島は甚大な台風・豪雨災害に見舞われた。被災地の知り合いを訪ねて回った矢野さんは「あまりにひどい状況。何とかしたいと思いました」。もともと進行しつつある地域の衰退に加えてのダブルパンチ。「まずはその地域地域に来てもらうことが大事。バイカーだったら、あちらこちらに立ち寄ることができる。宿泊する人もいるでしょう。景色や食事を写真にとってSNSにアップすれば、何かがどこかで話題になるかもしれない。それに、安全祈願で神社を参拝するという発想にもつながって。引いては、地域にお金を落としてもらうことにもつながるのでは。そう考えたんです」。同年11月に、第1号となる「天津神明宮」(鴨川市)、20年に「八街神社」(八街市)、21年に「飯香岡八幡宮」(市原市)、この22年4月に「海上八幡宮」(銚子市)と、規模を広げていった。

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