カワサキ&ホンダを駆る63歳ライダーの悠々自適な半生 老後の夢は「カブの旅」
千葉県内をツーリングで楽しんでもらい、神社で交通安全祈願をしてもらうことで、地域活性につなげる「千葉県ライダーズ神社プロジェクト」を立ち上げた、運営団体「CHIBAIKU(チバイク)」実行委員長の矢野正人さん(63)。カワサキとホンダの愛車を駆る約46年のベテランライダーでもある。マイカーはいすゞのクーペ型を乗り継いだ個性派だ。フリーランスの仕事で我が道を歩む、「変わり者」という半生とは。
「千葉県ライダーズ神社プロジェクト」立ち上げ バイクも車も個性派「自分はへそ曲がりなんですよ」
千葉県内をツーリングで楽しんでもらい、神社で交通安全祈願をしてもらうことで、地域活性につなげる「千葉県ライダーズ神社プロジェクト」を立ち上げた、運営団体「CHIBAIKU(チバイク)」実行委員長の矢野正人さん(63)。カワサキとホンダの愛車を駆る約46年のベテランライダーでもある。マイカーはいすゞのクーペ型を乗り継いだ個性派だ。フリーランスの仕事で我が道を歩む、「変わり者」という半生とは。(取材・文=吉原知也)
「自分のやりたいことをやり切る。その思いだけで動いているんですよ」。充実の表情を浮かべながらこう語った。
既存の神社の協力を得て、ライダーズ神社として旗を掲げ、バイク愛好家に交流の場を提供する同企画。2019年11月に第1社となる「天津神明宮」(鴨川市)、20年に「八街神社」(八街市)、21年に「飯香岡八幡宮」(市原市)、22年4月に「海上八幡宮」(銚子市)が参加。町おこしを含めた取り組みを推し進めている。19年に房総半島を襲った台風・豪雨被害を受け、30年以上千葉に住む矢野さんが「何とかしたい」と思ったことが、きっかけの1つ。ほぼ手弁当で、バイク仲間のボランティアの人手を借りながら運営に励んでいる。
行動力にあふれる人生。矢野さんがバイクと出会ったのは、高校2年の時だ。友人2人から原付免許を取ろうと誘われて、まったく勉強せずに受験し、あえなくペーパーテストを落ちた。「悔しくてテキストを買って勉強して受かりましたよ。それで、近所のバイク店に直行して、買ったんです。新車を」。ヤマハ・RD50で、当時約10万円の高価な代物。奮発して手に入れた最初の愛車で、地元・東京都大田区から山梨・山中湖に“原付旅”をしたのが、人生初のツーリングだ。「ちょっとした冒険。これが原点かな」。
高校卒業と同時に自動車に“乗り換える”友人が多かったというが、バイクにこだわり「大型免許を取りにいった。当時は難しい試験で4回目でようやく受かった。それで買ったのが、カワサキZ650。中古で約30万円だったかな。『750(ナナハン)キラー』なんて呼ばれてね。自分はへそ曲がりなんですよ」。実は、現在の愛車もカワサキZ650。当時のものではなく、4年前に、1年がかりで探して買った1976年製の中古だ。「軽くて速い、いいバイク。若い頃に乗っていた好きなバイクに、もう一度乗りたかった」と、顔をほころばせる。