「40年以上前に乗っていて、また乗りたいと思った。もう日本に何台もない。青春の思い出だよ。また乗りたいっていう人はみんなそうなんじゃないの」

　都内の豪邸に国内外の車30台を所有し、高いものでは7億円まで高騰している貴重な輸入車もあるという。周囲から見れば、人生の成功者に違いない。そんな男性を再び振り向かせたZ432の魅力は何だろうか。

「変わらないよ。走りっぷりも全然変わらない。丈夫だよな、日産は」

　40年の空白があろうと、ハンドルを握れば、またあのときの感触がよみがえる。言葉に出さずとも、走っていれば、心の機微を感じたり、感傷に浸れる。もう戻れない時代をともに過ごしたからこその、唯一無二の車だった。

　サファリブラウンの愛車はいつまで持ち続けるのだろうか。男性は「死ぬまでだろ」と即答し、優しい笑みを見せた。