市原隼人、ムキムキな筋肉を作った意外な理由「常に自分の精神と対話している」
自宅にはベンチプレス、ダンベル、懸垂マシン 毎日トレーニング
中学生といえば、市原のデビュー作は14歳のときに初主演を飾った映画「リリイ・シュシュのすべて」(岩井俊二監督)。これが原点だ。
「今は映画のようで、そうではないものがいっぱいあり、悲しくなるのですが、『リリイ・シュシュのすべて』こそ、本来あるべき姿の映画製作の現場だと思っています。岩井さんの自然体な世界観、自然の中でいろんなものを気づかせてくださいました。技術スタッフや制作スタッフもみんな職人気質で、映画自体が人間くさかった。カメラマンの篠田昇さん(2004年6月死去)のお墓参りには今も行っています。スタッフみんなと健康ランドに行ったり、一緒に食事したり、プロデューサーの家にしょっちゅう泊まりに行ったり……。愛がある現場でした。台本も毎日変わって、2日かけて、ワンシーンを撮ったことも。あの頃の映画への思いを、今も追いかけている気がします」
服の上からでも、鍛えられた筋肉が分かる市原。自宅にはベンチプレス、ダンベル、懸垂マシンなどをそろえて、毎日のようにトレーニングに励んでいるという。「10代後半から20代前半までは部屋の隅でシクシク泣いたりとか、現場が決まる度に嘔吐してしまったり、走っても走っても、寝られなかったり……という時代があったんです。だから、弱い自分と向き合おう、と。トレーニングで体を鍛えるというよりも常に自分の精神と対話している部分が多いんです」と明かす。映画への思いだけではなく、トレーニングを始めた理由まで、とことん人間くさい市原だった。
□市原隼人(いちはら・はやと)1987年2月6日、神奈川出身。2001年、「リリイ・シュシュのすべて」で初主演。主な出演作に、「偶然にも最悪な少年」(04)、「劇場版 おいしい給食 Final Battle」(20)、「ヤクザと家族 The Family」(21)、「太陽は動かない」(21)などがある。