“じぞ恋”キーマン…ドラマ40本目の磯村勇斗にもあった不遇時代「履歴書を送っても全然、ダメでした」

俳優の磯村勇斗(29)が、「じぞ恋」のキーマンになっている。「逃げ恥」「ぎぼむす」などが放送されてきたTBS系火曜10時、連続ドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(今月19日スタート)に出演。父と娘がダブル婚活に挑む物語で、主人公・沢田杏花(上野樹里)の幼なじみで5歳下の不破颯を演じている。第1話では、婚活パーティーで杏花と約18年ぶりに再会。初恋の相手だった杏花に再びひかれ、ストレートに愛情表現をしていく役柄だ。

磯村勇斗の俳優としての現在までの道のりに迫った【写真:荒川祐史】
磯村勇斗の俳優としての現在までの道のりに迫った【写真:荒川祐史】

26日に第2話、TBS系連続ドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」に出演

 俳優の磯村勇斗(29)が、「じぞ恋」のキーマンになっている。「逃げ恥」「ぎぼむす」などが放送されてきたTBS系火曜10時、連続ドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(今月19日スタート)に出演。父と娘がダブル婚活に挑む物語で、主人公・沢田杏花(上野樹里)の幼なじみで5歳下の不破颯を演じている。第1話では、婚活パーティーで杏花と約18年ぶりに再会。初恋の相手だった杏花に再びひかれ、ストレートに愛情表現をしていく役柄だ。(取材・文=柳田通斉)

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「颯は帰国子女で明るいキャラクターです。ストレートに物を言い、グイグイいきます。自分とは違うタイプで少し戸惑いはありましたが、演じていく中で、距離感の詰め方や会話の仕方はつかめました。帰国子女の方は身近にはいませんが、動画で海外に住んでいる同年代の日本人の方々が、どういう会話のテンポや表現をしているかは研究しました」

 磯村は2014年のデビューから、与えられた役に全力投球してきた。積み重ねた出演作は、テレビドラマ40本、映画18本、舞台3本。注目されたのは、15年のテレビ朝日系「仮面ライダーゴースト」(アラン/仮面ライダーネクロム役)で、17年のNHK連続ドラマ「ひよっこ」(前田秀俊役)でブレーク。18年の日本テレビ系「今日から俺は!!」(相良猛役)では、ヒーロー、好青年役の流れからから一転、極悪非道の不良を演じて話題になった。この時期は同時進行で複数の作品に関わっていたが、違うタイプの役一つ一つに対応して「カメレオン俳優」と呼ばれるようにもなった。

「さすがに、『今日から俺は!!』のインパクトは大きかったようで、放送後は似たような感じの役のオファーを多くいただきました。でも、1つのイメージには縛られたくはなかったので、できるだけいろいろなタイプの役を演じるようしてきました。ただ、今回で40本目と聞くと感慨深いものがありますね。正直、くすぶっていた時期もあったので」

 静岡県沼津市で生まれ育った磯村は、中学時代から俳優を志し、高2で地元の劇団に入った。そこで芝居の基礎を学び、大学進学と同時に上京。小劇場に出演しながら、芸能プロプロダクションに入所希望の願いと履歴書を送っていたという。

「事務所に入りたくても入れないし、オーディションを受けるために書類を送っても全部ダメでした。『何で気づいてもらえないんだ』とモヤモヤしていました。それでいて、舞台に立つと、『この劇団で俺が一番、芝居がうまいんだ』と過信し、トゲトゲもしていました。ダメな時期でした」

 芸能界は厳しい。スポットライトを浴びるのは、一握りでかつての磯村のように苦しみ、くすぶっている俳優、女優は多くいる。その思いが分かる磯村は言った。

「いろんな状況はありますが、ガムシャラにやっていると、どこかで手を差し伸べてくれる人はいると思います。僕の場合は、今は同じ事務所の伊藤靖朗さんが演出された舞台に出演し、それがきかっけで事務所に入れたことが大きかった。そこから、仮面ライダーのオーディションに合格し、世界が広がりました。ただ、チャンスはいつ来るか分からないですし、一つ一つの出会いやタイミングを大事にすること。それは、今も忘れないでいます」

「じぞ恋」ではメインキャストとして番組ポスターに登場した磯村勇斗【写真:(C)TBS】
「じぞ恋」ではメインキャストとして番組ポスターに登場した磯村勇斗【写真:(C)TBS】

 一方でブレークすると、途端に「天狗になった」と言われ、評判を落とす例はある。だが、磯村に関しては、「人気が出ても謙虚、真面目、接しやすい」の声が多く聞こえてくる。理由は、両親からの教育に加え、「人に恵まれてきた」ことにあるようだ。

「沼津の劇団には、かつて文学座や青年座といった有名劇団に在籍した人も多くいました。夢を追いかけながら、厳しさを経験した人たちで、東京で夢をつかむ大変さも教えてもらっていました。そして、仮面ライダーの現場でも『天狗になるな』と教えられ、事務所の社長にもことあるごとに厳しく言われます。それは、本当にありがたく思っています」

 その過程があって、「じぞ恋」ではメインキャストとして、番組のポスターにも登場している。文字通り、じっくり型でここまでたどり着き、「いつかは、ゴールデンタイムの連続ドラマで主演をしたいです。ただ、それもタイミングだと思います」。その上で今、全力を注ぐ「不破颯」の展開を口にした。

「この作品は温かい物語ですし、颯はいつも笑顔で真っすぐな青年であり続けます。ただ、なぜ、これだけ明るく振る舞うのか、その理由は描かれていきます」

 26日の第2話以降、颯が物語に何をもたらすのか……。視聴者とともに、多くのドラマ、映画、舞台関係者も磯村の芝居に注目している。

磯村勇斗の芝居に注目だ【写真:荒川祐史】
磯村勇斗の芝居に注目だ【写真:荒川祐史】

<じぞ恋 第1話の振り返り>

 ヨガインストラクターの沢田杏花(上野)は、2年前に母を亡くし、辞書編さん者の父・林太郎(松重豊)と2人で暮らしている。ヨガインストラクターとして独立するという目標がある杏花は、恋人は欲しいが結婚願望は薄かった。そして、起業セミナーを受講し、出会った東村晴太(田中圭)と意気投合。後日、2人で食事に行き、「結婚を前提にせず、お付き合いしてもらえませんか」と提案。晴太からシングルファーザーだと告げられ、「友達になりませんか」と逆に提案される。

 林太郎は妻の三回忌を機に遺品整理をしていると、妻が残した離婚届を発見。ショックを受けた林太郎は、杏花を巻き込んでの“父娘ダブル婚活”を思いついた。林太郎の勢いに押され、杏花はしぶしぶ親子で婚活パーティーに出席。それは、晴太の職場である結婚相談所が企画したパーティーで、晴太の息子・虹朗が通う民間英語学童保育「ウィズ・キッズ」の指導員、不破颯(磯村)も参加していた。そこで、颯は幼なじみの杏花との再会に歓喜する。

□磯村勇斗(いそむら・はやと)1992年9月11日、静岡・沼津市出身。中学から俳優を志し、高2で地元劇団の沼津演劇研究所に入所。上京後は小劇場を転々とし、作品に出演。アルバイト先で燻製の料理を学び、今でも得意としている。15年のテレビ朝日系「仮面ライダーゴースト」で注目され、数々の映画、舞台、ドラマ、バラエティー番組などに出演。今年3月、21年に公開された映画「ヤクザと家族 The Family」と「劇場版 きのう何食べた?」で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。特技はバスケットボール、趣味はサウナ、ゾンビ鑑賞。176センチ。家族は両親と8歳上の兄。

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