コロナ禍でNPOが苦境…対面活動できず4割が収益減「このままでは解散もやむ得ない」

長引くコロナ禍がNPO法人(非営利組織)の経営に影響を与えている。対面事業やイベント開催の自粛で、収入が減少。社会的活動が制限される中、団体を維持するための岐路に立たされている。専門家からは「このままでは解散もやむ得ない」との声が上がるなど、深刻な実態が浮かぶ。

子ども食堂の運営も苦境に立っている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
子ども食堂の運営も苦境に立っている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

法大大学院教授らが調査 難しいコロナ禍の対応

 長引くコロナ禍がNPO法人(非営利組織)の経営に影響を与えている。対面事業やイベント開催の自粛で、収入が減少。社会的活動が制限される中、団体を維持するための岐路に立たされている。専門家からは「このままでは解散もやむ得ない」との声が上がるなど、深刻な実態が浮かぶ。(取材・文=水沼一夫)

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 コロナ禍のNPOの実態調査を行ったのは、法政大学大学院の柏木宏教授と国際医療福祉大学の古山陽一専任講師のグループ。2021年10月18日から11月15日までインターネットで調査を行い、190団体から回答を得た。コロナ禍以前の19年度決算時と比べて、20年度では4割を超えるNPOの収益が減少していることが判明。さらに、22年度以降の経営見通しについては、「縮小の見通し」、「解散の可能性あり」と回答したNPOが合わせて2割を超えるなど、コロナが深刻な影響を与えていることが分かった。

 柏木氏によれば、NPOの収入源は大きく3つに分けられる。全体の半分以上は事業収入で、行政からの助成や補助金などが2~3割、企業や個人からの寄付や会費が1~2割という。

 コロナで特にダメージを受けているのが事業収入だ。各種イベントから慈善活動、講演セミナー、エコツアーやスタディツアーまでほとんどが対面で行われてきた。

「被災地に行って勉強させるとか、いろんな文化活動や教育活動は対面が多い。コロナで従来と同じように活動できず、実施が困難になるとお金が入ってこない」と柏木氏は話す。

 行政から委託や補助金を受けている子ども食堂の運営も課題を抱える。コロナで弁当の支給に切り替える動きもあるが、経営という面から見ると必ずしもいい点ばかりではないという。

 子どもが集まって食事をすれば、ボランティアやスタッフが必要となる。政府や自治体には前持って運営にかかる予算を伝えており、多くは後払いという。ところが、対面から弁当に代わると、弁当の配布先や数により、スタッフの増減や配送費など予定外の費用が生じる。しかし、政府や自治体は、こうした変化に応じて支援を行うとは限らない。その結果、財政面に悪影響が及び、将来的な団体の発展にもつながらなくなる恐れもある。

 子ども食堂の場合、対面の活動に意義を見出す団体もあり、「孤立しがちな子どもを支えていこうとか、手段として考えるところもある。必ずしも弁当に切り替えたから目的を達成したとは言えない」と柏木氏は指摘する。

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