“女帝”寺山日葵の引退を後押しした母の言葉「親孝行はたくさんしてもらった」

RISE QUEENミニフライ級王者・寺山日葵が3月15日に都内で会見を行い、引退を発表した。“女帝”と呼ばれ、女子キックのエースとして将来を渇望された21歳はなぜ、引退を決断したのか。その思いに迫った。

引退会見後にインタビューに応じた寺山日葵【写真:ENCOUNT編集部】
引退会見後にインタビューに応じた寺山日葵【写真:ENCOUNT編集部】

21歳でなぜ引退するのか

 RISE QUEENミニフライ級王者・寺山日葵が3月15日に都内で会見を行い、引退を発表した。“女帝”と呼ばれ、女子キックのエースとして将来を嘱望された21歳はなぜ、引退を決断したのか。その思いに迫った。(取材・文=島田将斗)

 引っ込み思案な寺山の決断の背中を押したのは母の言葉だった。

「辞めて好きな風に生きたらいいんじゃない? 私たちが続けてほしいって言う理由で続けるのはもういいよ」

 日本の女子キックの人気を牽引(けんいん)してきた。2016年5月にプロデビューし、23戦20勝2敗1分けの実績を持つ。18年7月からキックボクシングイベント「RISE」に参戦し、佐藤レイナ、AKARI、小林愛三らを次々撃破。“女帝”と呼ばれた。

 今年1月4日に以前から痛みを抱えていた右股関節唇損傷の手術を受け、無事成功。しかし復帰に1年半以上かかるという現実があった。

「やっぱそうなんだって。股関節のけがって復帰に時間がかかるとは聞いていた。手術だから体に穴を開けてだし。パンチの時も使うし、日常生活でも使う。時間がかかるのは予想していたけれど、そんなにかかるんだとは驚きました」

 試合中だけでなく、日常生活でも痛みは襲ってきた。「急な階段を登る、長時間歩く、走るのとかも痛くて。本当に痛かった時にはベッドの昇り降りも痛かった。骨がずっと動くたびに当たって痛いという感じ」。

次のページへ (2/4) 引退後は格闘技に全く関わらない選択肢もあった
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