ロシアの侵攻を受けているウクライナ国民が心の休まらない日々を過ごす中、ウクライナのNetflixでは過去に放送された大ヒットコメディードラマが人気を呼んでいる。タイトルは「Servant of the People（国民の奉仕者）SEASON 1」。Netflixが今週発表したウクライナのテレビTOP10によると、同ドラマはTV部門6位となり4週連続でTOP10入りを果たしている。主演を務めているのが同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領だ。いったいどんなドラマなのか。

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「Servant of the People」は政治コメディージャンルのドラマシリーズ。同シリーズを現在配信していているカナダの動画配信サービス・ビジョンTVのホームページによると、同ドラマは控えめで謙虚な高校の歴史教師であるヴァシリー（ゼレンスキー氏）が腐敗はびこる自国の悲惨な状況に怒りを表明。その動画がYouTubeに投稿されたことで脚光を浴び、人々はヴァシリーを大統領候補者として登録するために必要な費用をクラウドファンディングで集める。そして誰もが驚いたことにヴァシリーは当選しウクライナの新しい大統領として改革に乗り出す、という生々しいストーリーだ。

　同シリーズは元俳優でコメディアンのゼレンスキー氏によって設立された「Kvartal95」によって制作され15年から19年まで3シーズンが放送された。16年には映画版も公開されている。ゼレンスキー氏は実際に19年4月21日に行われた大統領選決選投票でウクライナ大統領に選出された。ビジョンTVは「ゼレンスキー氏の並外れた才能への賛辞と、腐敗と専制政治に立ち向かいウクライナの人々のために命を危険にさらしている大統領の心とユーモアを紹介できて誇りに思っています」と連日世界に向けてウクライナの立場を発信しているゼレンスキー大統領を称賛。また、「このシリーズは戦争によって引き起こされた破壊と荒廃の前に、何百万人ものカナダ人がウクライナの美しい都市やランドマークの多くを見る機会でもあり、ウクライナ文化の活気について学ぶ機会でもあります」と多くの視聴を呼び掛けている。

　同ドラマシリーズは現在、米国、英国、イタリア、ハンガリー、スロバキア、ラトビア、リトアニア、エストニア、アルバニア、ギリシャで配信されており、Netflixの最新の集計（4～10日）でも欧州ではエストニア、ラトビア、リトアニア、ウクライナの4か国でTop10入りを果たしている。ビジョンTVは「ゼレンスキー氏が『Servant of the People』で演じたキャラクターは、リーダーシップの原則や戦い続ける心の価値観がどこから始まったのかを示しています」と指摘しており、こうしたことが人気の背景にあるようだ。

　このドラマシリーズを日本で視聴できるか試してみるとー。テレビでNetflixを開いて検索欄に「servant」と入れてみたところ同キーワードを含むドラマが10本表示されたが、「Servant of the People」のタイトルは見つからなかった。ちなみにウクライナのNetflixで圧倒的に人気を呼んでいるドラマは米国の「Bridgerton（ブリジャートン家）: Season 2」と「同: Season 1」で1位と2位を独占。ロンドン社交界でその名を知られるブリジャートン家の8人きょうだいが、それぞれの愛と幸せを追い求める姿を描いている。