競馬予想で白熱、予想家おじさんたちが“ガチけんか” 長寿番組の変わらぬ魅力とは?

「変わらない」ことの重要性

 他方で、長年番組を続ける中で、競馬界もテレビ界もさまざまな変化が起きている。番組作りでの変化はあるのだろうか。新しい予想家を取り入れる「血の入れ替え」や、時代に合う表現などの変化は必要だとしながらも、番組の“核”は変えないという。

「この番組に関して言えば、何も変わりません。最初のフォーマットがシステムとして非常によくできあがっているので、手を入れる余地がありません。放送時間を、たとえば3時間にしても、それは違うな……となってしまい、2時間という絶妙なものがあります」。画期的なシステムであると同時に、番組全体のバランスとしても絶妙なのだ。

 続けて、「『変わらないことの良さ』がこの番組の一番重要な要素です」として、視聴者の視点からも“不動”の選択をしていると明かした。

「楽しみ方が一定のものは変えていく必要がありません。右往左往すると、番組そのものの見方が分からなくなります。それは見ている人を裏切ることになります。期待されていることが分かっているからこそ、変わらないことが重要です」。番組の核を正確に把握し、視聴者に寄り添った番組のためにあえて“変化しない”道を選んでいる。ここでも視聴者に寄り添い、楽しませることを意識した番組作りとなっている。

 当然、ターゲットとなる視聴者層は馬券を購入する競馬ファンが中心だが、意外にも女性や幅広い年齢層から反響があるという。「いい大人がけんかしながら『この馬が来る、いや来ない』と真剣に議論していることが、馬券を買わない人にも楽しんでもらえているのかもしれません」。

 競馬好きに響く番組は、競馬というエンターテインメントの特性を存分に生かし、競馬好きという視聴者に寄り添うことで、長年愛される番組として作られ続けているのだ。そして、人間同士のコミュニケーションという普遍的な“楽しさ”を提供していることで、競馬ファン以外をも魅了しているのかもしれない。

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猪俣創平

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