有田哲平“台本なし”プロレス番組で話術の神髄 仕掛け人が「モンスター」とうなるすごさ

いまプロレスファンに熱い視線が注がれるYouTube番組がある。お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の有田哲平が“YouTubeデビュー”を飾った『有田哲平のプロレス噺【オマエ有田だろ!!】』だ。「初心者に魅力を伝える」をコンセプトに、有田がプロレス愛をしゃべり倒すトークが最大の魅力。有田の盟友で、演出を務める前川コーファン氏に、有田の話術の神髄と番組制作の舞台裏を聞いた。

『有田哲平のプロレス噺【オマエ有田だろ!!】』の演出を手掛ける前川コーファン氏【写真:山口比佐夫】
『有田哲平のプロレス噺【オマエ有田だろ!!】』の演出を手掛ける前川コーファン氏【写真:山口比佐夫】

「有田と週刊プロレスと」を引き継ぐ 目標の1つは「東京スポーツ新聞社制定『プロレス大賞』特別賞受賞」

 いまプロレスファンに熱い視線が注がれるYouTube番組がある。お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の有田哲平が“YouTubeデビュー”を飾った『有田哲平のプロレス噺【オマエ有田だろ!!】』だ。「初心者に魅力を伝える」をコンセプトに、有田がプロレス愛をしゃべり倒すトークが最大の魅力。有田の盟友で、演出を務める前川コーファン氏に、有田の話術の神髄と番組制作の舞台裏を聞いた。(取材・文=吉原知也)

「これは有田さんじゃないとできない番組。プロレス漫談という言葉がぴったりです」。前川氏は、“らしさ”をこう表現する。

 有田にとって自身初の公式SNSアカウントでもある同チャンネルは、今年2月の開設から約20日間でチャンネル登録者数10万人を突破し「銀の盾」をゲット。月・木を中心とした週2回の配信で、トークテーマは、「コロナ禍のプロレス」、「女子プロレスの“今”」「米国プロレスWWE」など、バラエティーに富んでいる。「チュートリアル」の福田充徳を聞き手に迎え、視聴者からの質問・相談に有田が“熱血解説”で答えていく。

 実は、この番組はAmazon Prime Videoのプロレスバラエティー番組「有田と週刊プロレスと」(2016~19年)と「有田プロレスインターナショナル(Aインター)」(20年)の流れを引き継いでいる。前川氏をはじめとしたスタッフが再集結して制作されているのだ。

 約17年前にテレビ局のバラエティー番組で本格的に仕事をして以来、関係値を築いてきた2人。Aインターの番組が一段落し、有田とはまた何かプロレスの番組ができればと話をしていたという。「去年11月に有田さんに呼び出されて『なんでも構わないからやろう。YouTubeでやってみるのもありだよね』とおっしゃっていただいて。でも、1回目の打ち合わせは聞き流していたんです(笑)。そうしたら、12月にもう1回呼び出されて『どうなってるの? 本当にやるよ』と。それで今年に入って1月上旬に初回を収録。とりあえずの流れで、強引に始まった感じです(笑)」。

 プロレスに詳しくない人にプロレスの醍醐味(だいごみ)、面白さを知ってもらうというコンセプト。専門雑誌「週刊プロレス」の1冊を基に有田が解説を展開する「有田と週刊プロレスと」の時から6年以上、番組づくりの根幹は変わらない。それは、前川氏の実体験から生まれたと言っていい。「そもそも僕がプロレスを知らないんですよ。当初はそんなに興味もなかったんです(笑)。もちろん、有田さんがプロレスを大好きなことはもともと知っていました。2016年に自分の会社を立ち上げる時に、有田さんに何か番組をやってもらいたいなと思ってお願いをしたら、『プロレスの番組ならいいよ』と返事をいただいて、『有田と週刊プロレスと』の企画が立ち上がりました」。

 そして、この時の打ち合わせでの出来事が原点となった。「1度、週プロの雑誌を持って行ったことがありました。どういう番組にしようかという初期段階で、有田さんから『プロレスについて聞きたいことはある?』と尋ねられて、僕は全然分からなかったのですが、その時に持って行った週プロの表紙を見て、『これは何があったんですか?』と聞いたら、新日本プロレスのG1クライマックスで優勝したケニー・オメガ選手について解説してくれました。それがめちゃくちゃ面白くて。『これはいける』と確信しました。有田さんがプロレスを知らない人にしゃべるという基本のコンセプトが、まさに僕自身だったわけです。それで、『有田と週刊プロレスと』がスタートしました」と明かした。

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