ウクライナの凄惨映像、子どもへの影響は 専門家「繰り返し見過ぎないことが大事」
「子どもは心配しなくてよい」はNG
――実際に今回の戦争の映像を見て泣いてしまう子どももいます。親はどう対処すればいいのでしょうか。
「災害のときも同じですけど、同じ映像を繰り返し見過ぎないというのが大事。入ってくる刺激そのものを親として管理することが大切だと思います。普段の約束事として、スマホやメディアを見る時間は決めておく。見聞きしたことに対して、子どもがどういうふうに受け止めているのか、感じてるのかというのは実際に話をして聞いてもらいたいなと思います。泣いちゃったというときに、悲しいのか、怖いのか、あるいはただ怖いなのか、『泣く』にともなう気持ち、例えばウクライナのどういう場面を見て何を感じてるのかは聞いてみないと分からないです。まず聞いて、その上で『今あなたは、安全だし、安心していいんだよ』というメッセージを伝えてもらいます」
――情報の背景を丁寧に説明するということですね。
「(映像など)そのこと自体への怖さを感じている子どももいるかもしれないし、世の中で大変なことが起こっているのに、自分は何もせず普段通りの生活を送っていてよいのかと罪悪感を持つ子どももいるかもしれません。一つの映像としてじゃなくて、今起こっていることを年齢に合わせて、子どもが理解できるように伝える。たとえば『こんなことが世の中で起こることがあるんだよ』というふうに説明した上で、子ども自身の安全や安心感を高めてもらいたいです。その事態に対して、『子どもは心配しなくてよい』と切り離すだけではなくて、周りの大人たちが解決に向けて努力してるんだよというメッセージは同時に伝えていただきたいと思います。そうしたことが、この先の希望や安心感を与える情報になると思います」
――強すぎる刺激はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症も懸念されます。
「衝撃的な映像に触れる機会は少なければ、少ないほどよいですね。気になるからといって見続けるということは避けてほしいと思います。また、これまでにトラウマ体験があると、より大きな影響を受けやすいというのもあります。大変な出来事を体験している子どもたちに対しては、よりその報道やニュースを見聞きする機会については注意して見守っていただきたいです。ご飯を食べられないとか眠れないとかという強いストレス反応が出たときには、特に声をかけていただいたり、ひとりにさせないなど安心させるための手助けをしていただきたいと思います」